映画と英文法7

映画と英文法7

 

 前回に続き、場面はホテルのパーティールーム(the hotel ballroom)です。

 キンブルは、ゴルフのエアースィングをしている友人のポールに声をかけます。

 

KIMBLE:Straighten that arm, Paul, or you’re gonna slice.

PAUL  :Rich, golf pro teach you that?

KIMBLE:No. my wife.

 

 gonnaは、going toを縮めて発音したgonnaをそのままつづった、いわゆる発音つづりです。

ポイントは、ポールのセリフ

 

Straighten that arm, Paul, or you’re gonna slice.

 

の、orです。

 命令文、あるいは、命令文に近い意味を伝える、You must ~やYou have to ~などの表現の後に続くorは、「そうしなければ」という意味になります。or else、otherwiseでも、同じ意味を伝えます。一方、andは、「そうすれば」という意味になります。

 

 V ~, or S will V ・・・.

 V ~, or else S will V ・・・.

 V ~, otherwise S will V ・・・.

 「Vしろ。そうしなければSはVするだろう」

 

 V ~, and S will V ・・・.

 「Vしろ。そうすればSはVするだろう」

 

 Hurry up, and you’ll be in time for the meeting.

 「急ぎなさい。そうすれば会議に間に合うでしょう」

 If you hurry up, you’ll be in time for the meeting.

 

 Hurry up, or you’ll be late for the meeting.

 「急ぎなさい。さもないと会議に遅れるでしょう」

 If you don’t hurry up, you’ll be late for the meeting.

 Unless you hurry up, you’ll be late for the meeting.

 

のように、です。

 しかし、ifやunlessを使った表現は、命令文と違って切迫感が感じられません。ただ、客観的な事柄を淡々と述べているという印象をうけます。

 あまり意味のない、機械的な文法問題の書き換えは考えずに、

 

 命令文、or ~

 命令文、and ~

 

の形と意味を理解しておけば十分でしょう。

 

KIMBLE:Straighten that arm, Paul, or you’re gonna slice.

     「その腕を伸ばすんだな。でないと、(ボールが)スライスするぞ」

PAUL  :Rich, golf pro teach you that?

     「リッチ、ゴルフのプロにそう教えてもらっているのか?」

KIMBLE:No. my wife.

     「いや、妻だ」

 

 なお、or elseで終わると、「さもないとひどい目にあうぞ」という、おどしや警告になり、特に、子供たちの間で使われることがあります。

 

 Don’t take a step forward, or else!

 「一歩でも前に動いてみろ。でないと(ひどい目にあうぞ!)」

 

youtube”映画と英文法7”でも公開

 

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映画と英文法6

映画と英文法6

 

 「次回は副詞の働きについて」と、前回のブログでお伝えしましたが、予定していた内容を変えて、先に進みたいと思います。

 

 ストーリーは、回想シーンに入ります。

 キンブルは、後に殺害されることになる妻のヘレンと共に、ホテルで行なわれた資金調達のパーティーに参加しています。

 場面は、the hotel ballroom(ホテルの舞踏室、パーティールーム)です。

 

 今回は、セリフではなくト書きの部分から、2つの表現を拾い上げます。

 ト書きとは、シナリオや戯曲の中の、セリフ以外の部分で、登場人物の動作や行動を示している部分です。

 

 Kimble continues to make his way through the crowd.

 

 ポイントはmake his wayで、「進む」という意味です。

 makeの部分を変えることによって、「どんな進み方をする(している)」のかを示します。

 

 push one’s way

「人を押し分けながら強引に進む」

 feel one’s way

「手探りで進む」

 pick one’s way

 慎重に進路を選ぶ(pick)ことから「慎重に/用心して進む」

 

と、進み方変わってきます。

 また、makeをfindやloseに変えると、

 

 find one’s way

 「道 / 進路を見つける」から「伝わる」

 lose one’s way

 「道を見失う」から「道に迷う」(get lost)

 

という意味になります。

 今回の表現

 make one’s way through the crowd

 「人混みの中を進む」

の、make、the crowdを、それぞれ別の語に変えると

 

 work one’s way through one’s college days.

 「働きながら大学時代を進む」ことから「苦学して大学を卒業する」

 laugh one’s way through life

 「笑って生きる / 暮らす」

 

となります。

 なお、「~を通して」という意味の前置詞ですが、歴史のように、「最初から最後までずっと」という意味を強調するときはoutを付けて

 Throughout human history

と表現します。

 

 もう一つ、別の表現を取り上げましょう。

 

 On stage, a female fashion model, dressed in a swimsuit, walks down the runway.

 「ステージでは、女性のファッションモデルが、水着を着て、ランウェイ(花道)を歩いてくる」

 

 dressには「人に(服を)着せる」という意味があります。これを受動態にすると

 

 人 be dressed in ~(inは、着用のin)

 「人は~を着させられている」

 →「人は服を着ている」

 

となります。

 dress oneself in ~なら、「自分に~を着せる」だから「~を着る」という意味になります。

 

 dressed in ~は、前回“映画と英文法5”で取り上げた分詞構文です。そのときもお話ししたように、受動態の分詞構文はbeingを省略して過去分詞から始めます。

 

 Seated in the armchair, he was fast asleep.

 「肘掛け椅子に座りながら、彼はぐっすり眠っていた」

 Located (Situated) on a hill, his house has a fine view.

 「彼の家は丘の上にあるので、見晴らしがいい」

 → be located(situated)「位置している」は、一般的によく使われる表現というわけではありませんが、大学受験生にとってはお馴染みの表現ですね。

 

 本文のシナリオは、スクリーンプレイ出版(株)の「スクリーンプレイ・シリーズ」を参照しました。

 

 音声解説は、youtube“映画と英文法”の6で公開中

 

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映画と英文法6

映画と英文法6

 

 「次回は副詞の働きについて」と、前回のブログでお伝えしましたが、予定していた内容を変えて、先に進みたいと思います。

 

 ストーリーは、回想シーンに入ります。

 キンブルは、後に殺害されることになる妻のヘレンと共に、ホテルで行なわれた資金調達のパーティーに参加しています。

 場面は、the hotel ballroom(ホテルの舞踏室、パーティールーム)です。

 

 今回は、セリフではなくト書きの部分から、2つの表現を拾い上げます。

 ト書きとは、シナリオや戯曲の中の、セリフ以外の部分で、登場人物の動作や行動を示している部分です。

 

 Kimble continues to make his way through the crowd.

 

 ポイントはmake his wayで、「進む」という意味です。

 makeの部分を変えることによって、「どんな進み方をする(している)」のかを示します。

 

 push one’s way

「人を押し分けながら強引に進む」

 feel one’s way

「手探りで進む」

 pick one’s way

 慎重に進路を選ぶ(pick)ことから「慎重に/用心して進む」

 

と、進み方変わってきます。

 また、makeをfindやloseに変えると、

 

 find one’s way

 「道 / 進路を見つける」から「伝わる」

 lose one’s way

 「道を見失う」から「道に迷う」(get lost)

 

という意味になります。

 今回の表現

 make one’s way through the crowd

 「人混みの中を進む」

の、make、the crowdを、それぞれ別の語に変えると

 

 work one’s way through one’s college days.

 「働きながら大学時代を進む」ことから「苦学して大学を卒業する」

 laugh one’s way through life

 「笑って生きる / 暮らす」

 

となります。

 なお、「~を通して」という意味の前置詞ですが、歴史のように、「最初から最後までずっと」という意味を強調するときはoutを付けて

 Throughout human history

と表現します。

 

 もう一つ、別の表現を取り上げましょう。

 

 On stage, a female fashion model, dressed in a swimsuit, walks down the runway.

 「ステージでは、女性のファッションモデルが、水着を着て、ランウェイ(花道)を歩いてくる」

 

 dressには「人に(服を)着せる」という意味があります。これを受動態にすると

 

 人 be dressed in ~(inは、着用のin)

 「人は~を着させられている」

 →「人は服を着ている」

 

となります。

 dress oneself in ~なら、「自分に~を着せる」だから「~を着る」という意味になります。

 

 dressed in ~は、前回“映画と英文法5”で取り上げた分詞構文です。そのときもお話ししたように、受動態の分詞構文はbeingを省略して過去分詞から始めます。

 

 Seated in the armchair, he was fast asleep.

 「肘掛け椅子に座りながら、彼はぐっすり眠っていた」

 Located (Situated) on a hill, his house has a fine view.

 「彼の家は丘の上にあるので、見晴らしがいい」

 → be located(situated)「位置している」は、一般的によく使われる表現というわけではありませんが、大学受験生にとってはお馴染みの表現ですね。

 

 本文のシナリオは、スクリーンプレイ出版(株)の「スクリーンプレイ・シリーズ」を参照しました。

 

 音声解説は、youtube“映画と英文法”の6で公開中

 

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映画と英文法5

映画と英文法5

 

 リチャード・キンブルの自宅前で、テレビレポーターがカメラに向かって話し続けます。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 a nine-one-one「911」は、緊急電話番号で、日本で言うと、110番、あるいは、119番に当たります。

 「ある行為をする」で、最もよく使われる語がmakeで、make a callで「電話をする」という意味になります。

 indicateは、「~を指し示す、をほのめかす」という意味です。

 intruderは、「侵入者」という意味です。

 assaultは、「~襲撃する、を襲う、~に暴行する」という意味です。

 

 今回のポイントは、indicatingの箇所です。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police

という文と

 indicate that there was an intruder in the house or that she was being assaulted

という、2つの文を、ingの力を借りてつなげています。

 

 We ~ police + indicating

 = We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 2つ以上の文をつなげるには、通常、接続詞の力を借ります。しかし、接続詞の力を借りずに、現在分詞のような分詞を使って2つの文をつなげるときがあります。これを、分詞構文と呼んでいます。

 ここで、分詞構文について、簡単におさらいしておきましょう。

 

 今、述べたように、分詞構文とは、接続詞の力を借りずに、分詞を使って文と文をつなぐ構文のことです。

 分詞には、現在分詞と過去分詞があります。

 通常は、現在分詞を使いますが、受動態の場合は、beingを省略して過去分詞から始めます。

 

 ⅰ Ving ~, S + V ・・・

 

 ⅱ Being Ved ~, S + V ・・・

→ Ved ~, S + V ・・・

   (過去分詞には、不規則変化もありますが、とりあえず、ここでは、規則変化のVedに代表させておきます)

 

ⅰ Arriving on the scene, I saw him running away.

「私が現場に着いたとき、彼が走り去るのを見た」

 

ⅱ Seen from here, the stone looks like a human face.

   「ここから見ると、その石は人間の顔のように見える」

 

 Beingを省略した分詞構文には、過去分詞から始まる形以外のものもあります。

 例えば、形容詞から始まる分詞構文

Curious to know how the machine works, he immerged himself in studying its working.

 「彼はその機械の動きを知りたくて、その動きの研究に没頭した」

 

 名詞から始まる分詞構文

Always the self-confident one, she made it to San Francisco for college.

「彼女は常に自信家だったので、大学はサンフランシスコに行った」

 

 分詞構文の節-以下、分詞節と呼びます-が後ろにきている文もあります。

 

 S + V ・・・, Ving .

 

 用例を挙げておきましょう。

 

Japanese traditionally speak indirectly, leaving the listener to figure out what the point is.

 「伝統的に、日本人は遠回しな話し方をして、ポイントが何か理解することを聞き手にまかせておく」

 

 分詞構文の意味は、文脈で決まり、いくつか代表的な意味があります。あるいは、分詞構文には、時制に関すること、否定の形、慣用的な表現など、いくつかのポイントがありますが、詳細は、またの機会に述べたいと思います。

 

 今回は、分詞構文の主語に着目しましょう。

 今まで出てきた用例でわかるように、分詞節の主語は基本的には全体の文の主語(主節の主語)と一致しています。その結果、分詞節の主語を表示する必要はないのです。

 主語が異なる場合は、分詞-あるいは、形容詞-の前に主語を表示します。

 

 Nobody having any more to say, the meeting was closed.

 「誰もそれ以上言うことがなかったので、会は閉会になった」

 (オックスフォード現代英語用法辞典より)

 

 全体(主節)の主語はthe meetingですが、分詞節の主語はNobodyです。このように、主語が異なっている場合は、表示するのが原則ですが、その原則に従わないケースもあります。

 

Generally speaking, women live longer than men.

 「概して言えば、女性は男性より長生きである」

 

 broadly speaking「おおざっぱに言えば」、strictly speaking「厳密に言えば」、frankly speaking「率直に言うと」のように、主語が「漠然とした一般の人」であったり、「話し手」であることがわかりきっている、というケースです。慣用的な表現が多く含まれています。

 

 It wasn’t a bad day, considering.

 「いろいろ考えてみると、悪い一日じゃなかった」

  considering一語で、「いろいろ考えてみると」( = considering everything)という意味になります。よく使われるので、覚えておけば、役に立つでしょう。

 

 さて、今回の場合は慣用的な表現ではありません。

 次の文の分詞構文の主語に着目しましょう。

 

 He didn’t turn up, causing her to get angry.

「彼は現れなかった。そのことは彼女を怒らせた」

 

 「彼女を怒らせた」原因は、「彼自身の存在」ではなく、「彼が現れなかった」ことです。

 つまり、causingの主語は、主節の主語Heではなく、主節そのものです。

 このように、前文(主節)が主語の場合も、分詞節の主語は表示されません。主語を表示しなくても、内容がわかるからです。文脈からわかるのに、語彙数を増やしてわざわざ文を難しくする必要はない、というわけです。

 

 テレビレポーターのセリフに戻りましょう。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 「彼女が911番に電話した」ことが、「家の中に侵入者がいた」、あるいは、「彼女が誰かに襲われていた」ことを示しています。

 つまり、分詞indicatingの主語は前文のthat、ということになります。

 

 ただ、感覚的には、前回のブログ(映画と英文法4)で説明したように、indicating以下の文は前文のthat節にかかる修飾部と捉えるほうが分かりやすいかもしれません。

 indicatingの働きがどちらの場合であるにせよ、これ以上の分析はあまり意味がないでしょう。

 

 次回は、再度、テレビレポーターのセリフを取り上げます。

 というのも、実際のセリフには、ある副詞が加わっていたのですが、ポイントを絞って説明するために、その副詞を省いていたのです。

 副詞の中には、2つの働きをする語があります。そのあたりのことを詳しくお話したいと思います。

 では、今日は、これで失礼します。

 

 音声付きの解説は、youtube“映画と英文法”で公開しています。

 

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映画と英文法4

映画と英文法4

 

 リチャード・キンブルの自宅前で、テレビレポーターがカメラに向かって話し続けます。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 a nine-one-one「911」は、緊急電話番号で、日本で言うと、110番、あるいは、119番に当たります。

 「ある行為をする」で、最もよく使われる語がmakeで、make a callで「電話をする」という意味になります。

 indicateは、「~を指し示す、をほのめかす」という意味です。

 intruderは、「侵入者」という意味です。

 assaultは、「~襲撃する、を襲う、~に暴行する」という意味です。

 

 今回のポイントは、indicatingの箇所です。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police

という文と

 indicate that there was an intruder in the house or that she was being assaulted

という、2つの文を、ingの力を借りてつなげています。

 

 We ~ police + indicating

 = We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 この~ing以下の文が、前の文にどのような働きかけをしているのか、考えてみましょう。

 次の文を見てください。

 

 a child swimming in the river

 

 swimmingが前の語a childを修飾していて、

 

 「川で泳いでいる子供」

 

という意味になります。

 

 このように、ing以下の文が、前の語句を修飾するときがありますが、その語句の部分が文であるときもあります。

 次の文を見てください。

 

Speakers and writers are supposed to make their points clear, meaning that they have to say or write explicitly the idea or piece of information they wish to convey.

 

 meaningの働きに着目しましょう。

 meaningは「~を意味する」という語で、前文を修飾しています。

 

 speakers and writersがtheyに

 are supposed toがhave toに

 make their points clearがsay or write以下の文に

 

それぞれ言い換えられています。

 

 「話し手と書き手は、ポイントを明確にしなければならない。それは、伝えたい意見や情報をはっきり言ったり書いたりしなければならないことを意味している

 

と言っています。

 前文を先行詞にする関係代名詞whichを使って、

 

Speakers and writers are supposed to make their points clear, which means that they have to say or write explicitly the idea or piece of information they wish to convey.

 

と言い換えることができます。

 この考えを、テレビレポーターの言ったセリフに応用すると、

 

 indicating以下の文が、前文のthatを含めたthat節の中の文を修飾していて、

 

 「今、わかっていることは、彼女が911番に電話したということです。それは、家の中に侵入者がいたか、彼女が襲われていたかのどちらかを示しています」

 

と、伝えているのです。

 関係代名詞を使って書き換えると、

 

 We know that she made a nine-one-one call to police, which indicated that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

となります。

 

 次回は、同じセリフを、分詞構文の観点から説明します。

 

音声付き映像は、Youtube“映画と英文法4”で公開中

 

映画と英文法4

映画と英文法4

 

 リチャード・キンブルの自宅前で、テレビレポーターがカメラに向かって話し続けます。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 a nine-one-one「911」は、緊急電話番号で、日本で言うと、110番、あるいは、119番に当たります。

 「ある行為をする」で、最もよく使われる語がmakeで、make a callで「電話をする」という意味になります。

 indicateは、「~を指し示す、をほのめかす」という意味です。

 intruderは、「侵入者」という意味です。

 assaultは、「~襲撃する、を襲う、~に暴行する」という意味です。

 

 今回のポイントは、indicatingの箇所です。

 

 We know that she made a nine-one-one call to police

という文と

 indicate that there was an intruder in the house or that she was being assaulted

という、2つの文を、ingの力を借りてつなげています。

 

 We ~ police + indicating

 = We know that she made a nine-one-one call to police indicating that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

 この~ing以下の文が、前の文にどのような働きかけをしているのか、考えてみましょう。

 次の文を見てください。

 

 a child swimming in the river

 

 swimmingが前の語a childを修飾していて、

 

 「川で泳いでいる子供」

 

という意味になります。

 

 このように、ing以下の文が、前の語句を修飾するときがありますが、その語句の部分が文であるときもあります。

 次の文を見てください。

 

Speakers and writers are supposed to make their points clear, meaning that they have to say or write explicitly the idea or piece of information they wish to convey.

 

 meaningの働きに着目しましょう。

 meaningは「~を意味する」という語で、前文を修飾しています。

 

 speakers and writersがtheyに

 are supposed toがhave toに

 make their points clearがsay or write以下の文に

 

それぞれ言い換えられています。

 

 「話し手と書き手は、ポイントを明確にしなければならない。それは、伝えたい意見や情報をはっきり言ったり書いたりしなければならないことを意味している

 

と言っています。

 前文を先行詞にする関係代名詞whichを使って、

 

Speakers and writers are supposed to make their points clear, which means that they have to say or write explicitly the idea or piece of information they wish to convey.

 

と言い換えることができます。

 この考えを、テレビレポーターの言ったセリフに応用すると、

 

 indicating以下の文が、前文のthatを含めたthat節の中の文を修飾していて、

 

 「今、わかっていることは、彼女が911番に電話したということです。それは、家の中に侵入者がいたか、彼女が襲われていたかのどちらかを示しています」

 

と、伝えているのです。

 関係代名詞を使って書き換えると、

 

 We know that she made a nine-one-one call to police, which indicated that there was an intruder in the house or that she was being assaulted.

 

となります。

 

 次回は、同じセリフを、分詞構文の観点から説明します。

映画と英文法3

映画と英文法3

 

 今回も、テレビレポーターのセリフから。

 

 Now, as I indicated, she was found shortly before midnight.

 

 まず、文を先行詞にする関係代名詞について、おさらいしておきましょう。

 文を先行詞にする関係代名詞には、whichとasの2つがあります。

 

 ⅰ He was late, which is often the case with him.

 

 ⅱ He was late, as is often the case with him.

 

 whichもasも、前文(He was late)を先行詞にする関係代名詞としての働きをしています。

 ただ、少しニュアンスが違います。

 

 whichを使ったⅰのケースでは、which以下の文に重要な意味を持たせています。

 ⅰ「彼は遅れた。あいつは、しょっちゅう遅れてくるな

 

 asを使ったⅱのケースでは、前文(He was late)がイイタイコトで、as以下の内容は補足的なものです。

 ⅱ「(今日は重要な会議があったのに)彼は遅れてきた。まあ、いつものことだけど

 ぐらいの気持ちです。

 つまり、as ~は内容が少し軽くなるので、そのぶん身軽になるのです。身軽さゆえに、全体の文のなかのいろいろなところに飛んでいくのです。

 例えば、

 As is often the case with him, he was late.

 この場合、先行詞は関係詞節の後ろにきています。こういう芸当はwhichにはできません。

 通常、関係詞が受ける語や文は関係詞節より前にあるので「先行詞」と呼ばれているのです。それが、文を先行詞にするasの場合、先行詞より前に飛び出ることがあるのです。これも、as ~の内容の軽さに起因しています。

 日本語でも同じです。

 

 「今日は重要な会議があったのに、彼は遅れた。まあ、いつものことだけど

 「いつものことだけど、彼は今日の重要な会議に遅れた」

と言ってもいいわけです。

 

 これは、話の内容の重要度に対する意識の差ではないかと思われます。

 「いつもそうだ」が重要な意味をもってくれば、後ろに置くでしょう。

 

 「彼は今日も遅れた、いつもそうだ。首にしてやろう

 

 この場合、「いつもそうだ」は「彼を首にしてやろう」につながる重要な意味を持っています。

 

 ところで、asには接続詞としての用法もあります。

 

 As he entered the room, I saw him.

 「彼が部屋に入るとき、私は彼の姿を見た」

 

 asは接続詞として、he entered the roomという文とI saw himという文を結びつけています。しかし、as節の中で、asは、主語や目的語のような文の要素として働いているわけではありません。

 それに対して、関係代名詞としてのasは、as節の中で主語や目的語のような働きをしています。

 As is often the case with him, he was late.

  Asはas節の中で主語の働きをしている

 

 As was the custom in those days, they walked barefoot.

 「当時の習慣だったのだが、彼らは裸足で歩いていた」

  Asはas節の中で主語の働きをしている

 

 He is not from this town, as I later knew from his accent.

 「彼はこの町の出身ではない。彼のなまりから後でわかったことだが」

  asはas節の中で、knewの目的語の働きをしている

 

 As someone said, happiness is always in the past tense.

 「誰かが言ったように、幸せは常に過去時制だ」

  Asはas節の中で、saidの目的語の働きをしている

 

 さて、映画の中のセリフ

 

 Now, as I indicated, she was found shortly before midnight.

 「さて、お伝えしたように、彼女(キンブルの妻)は夜半前すぐに発見されました」

 

ですが、asはas節の中でindicatedの目的語の働きをしていて、後ろの文(she was midnight)を受ける関係代名詞と言えるでしょう。

 ただし、asが目的語になっているケースでは、このasを関係代名詞として認識することに実際にはあまり意味がないように思えます。さすがに、asが主語の働きをしているケースでは、asを接続詞として認識するには違和感がありますが、目的語の場合は、「~のように、~だが」ぐらいの意味で、前か後ろの文を受けている、という認識でいいかもしれません。

 英語で言うと、so「そのように」と同じ感覚で、

 

 He is not from this town. I later knew so from his accent.

 「彼はこの町の出身ではないな。彼のなまりから後でそのようにわかったんだが」

 

Someone said so, happiness is always in the past tense.

 「誰かがそのように言っていたが、幸せは常に過去時制だ」

 

  ただ、あまり意味がないとはいえ、タイトルが「映画と英文法」なので、英文法の観点から説明する必要があったのです。

 

youtube

「映画と英文法 南田 庄」