英語の散歩道9ースローライフ

カタカナ

 「英語かな」と思っていたカタカナが、実は、「英語ではない」語が日本語の中にはたくさんあります。

 例えば

 

  「ペットボトル」

 

 「ペット」の由来は、ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフタラート( polyethylene terephthalate )の略称PETです。日本では、「テトロン」と呼ぶほうが馴染みあるかもしれません。

 この語に「ボトル」をくっつけて「ペットボトル」と呼んだわけです。

 「テトロン」が帝人東レの共同商標であることを考えると、語源は商標名というほうが的確かもしれません。

 英語では

 

  a plastic bottle

 

です。

 ついでに、「ビニール袋」は

 

  a plastic bag

 

ですね。

 語源が商標名といえば

 

  「シャーペン」

 

もそうです。

 シャープが開発した「シャープペンシル」が縮まって「シャーペン」となったわけです。

英語は

 

  a mechanical pencil(米語)

  a propelling pencil(英語)

 

です。

 「ウォシュレット」もTOTOの商標名ですが-他社は、「シャワートイレ」など、品名が異なります-、日本以外での普及率がそれほど高くないので、英訳は難しいです-その商品を見たことがない者に言ったところで、どこまで通じるかはかわりません。

 

  a bidet

  a toilet (seat) with (a) bidet function

  a toilet equipped with bidet function

 

など、いくつかありますが、シャワートイレ / ウォシュレットは女性用だけではないのでbidetに頼る表現には無理がありそうです。そのうち

 

  washlet

 

という商標名が一般的になるかもしれませんが、商品そのものがどこまで広がるかによるでしょう-西洋には、トイレ洗浄機に抵抗がある人も多くいるようなので。

 

 他の語も見ていきましょう。

 ドイツ語由来(「仕事」を意味するArbeit)の「アルバイト(する)」も英語ではありません。

 

  work part-time

  have part-time work

  have a part-time job

 

が一般的でしょう。

 

  do part-time work

  do a part-time job

 

でもいいでしょうが、専門職にある人などが、「ちょっと別の仕事を・・・」というときにも使ったりするので、おすすめは

 

  work part-time

  have part-time work

  have a part-time job

 

です。

 このように外国語、特に英語の影響を受けた日本語は多いので、「ペットボトル」の代わりに「プラスティックボトル」という日本語を使えば、英語を覚えるのに少しは楽ができるのですが。

 

 逆に、日本語が英語になった語もいくつかあります。tidal waveを意味する「津波」(tsunami)もそうでしょう。

 少し難しい語で「大物、実力者、ボス」を意味するtycoonもその代表です。

 

  tycoon

 

を発音すると

 

  タイクーン

 

 日本語にすると、

 

  「大君」

 

ですね。

 「大君」は「天皇」のことを指して言う語ですが、江戸末期、開国・交易を求めて日本にやって来た外国人が、交渉相手側のトップにいた徳川将軍を「天皇」と間違えたそうです。そこから「最もえらい人」を指して「タイクーン」と呼び、tycoonは今に至るまで使われるようになりました。

 

 最後に(Last but not least)、「スローライフ」を取り上げましょう。

 最近、というか、少し前からよく聞く言葉です。

 もちろん、この語もイタリアから始まったslow foodをアレンジした日本語です。

 

 「心豊かに、ゆったりと過ごす生活」

 

のことですね。

 

  スローライフ = 田舎でのんびり過ごすこと

 

というイメージはありますが、田舎での生活に限るわけではありません。

 

 のんびり

 リラックス

 気楽な

 ストレスのない

 

など、「スローライフ」からイメージされる語をlifeに付ければいいでしょう。

 

  I have a(an) ~ life.

  I lead a(an) ~ life.

  I live a(an) ~ life.

 

 よく使われている語に-受験生には馴染みがないようですが、よく使われているという意味では、第一候補として

 

  laid-back

 

を挙げたいと思います。laid-backは「(のんびりとした)人」にも使います。

 

 relaxを使うこともできますが、ここで文法の注意をしますと、relax ~は「~をリラックスさせる」という意味なので

 

  「私をリラックスさせる生活」と考えればa relaxing life

  「私がリラックスする生活」と考えればa relaxed life

 

となり、どちらでもOKです。

 「充足した生活」をsatisfyで表現するときに

 

  「私を満足させる生活」a satisfying life

  「私が満足する生活」a satisfied life

 

のどちらの表現も使われているのと同じです。

 ちなみに、CODでは

 

  laid-back = relaxed

 

と定義されているので、a laid-back lifeをrelaxを使った表現に替えればa relaxed lifeとなります。

 

 「ストレスがかからない」と考えれば

 

  stress-free

 

 「気苦労のない」と考えれば

 

  care-free

   care-freeは「気のおけない、気遣いの必要がない」という意味で「人」にも使います。

 

 その他、easyeasy-going(easygoing)なども使えます。

 「スローライフ」は日本語と言いましたが、slowを使うのであれば、lifeではなくlivingを使って

 

  a slow living

 

と表現します。

 lifeという英単語にこだわらなければ

 

  live comfortably

  take it easy

  chill (out)

 

などが考えられます。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加  

 

 

教える英文法 仮定法

教える英文法 仮定法

 
教える英文法: 比較表現

教える英文法: 比較表現

 
曽根崎慕情

曽根崎慕情

 
9G(下): 満月の夜に狼男がやって来る

9G(下): 満月の夜に狼男がやって来る

 
9G(上): 満月の夜に狼男がやって来る

9G(上): 満月の夜に狼男がやって来る