教える英文法6ーthere構文
There構文
「私の本は机の上にあります」
を英訳すると
× There is my book on the desk.
○ My book is on the desk.
となることは有名ですね。
There構文は不特定なもの(人)に使う
からです。
従って、特定なもの(my book)をthere構文で表現できません。
どうして
There構文は不特定なもの(人)に使う
のでしょうか。
その理由は
There構文はストーリーの中で初めて「~がある / ~がいる」と紹介するときに使う(ある語をストーリーの中に「導入」するときに使う)
からです。
では、次のケースはどうでしょう。
There was a man called ~
・・・・・・・・・・・・
中略
・・・・・・・・・・・・
There was his daughter ~
「~に彼の娘がいて、・・・」
さらに別の文
The big pines grew so thick that ~
・・・・・・・・・・・・
中略
・・・・・・・・・・・・
There is the scent of pines in the sun.
「陽光をうけて松の香りが漂っている」
his daughterもthe scent of pinesも「特定なもの(人)」を表している語です。
しかし、his( = a man )、pinesはストーリーの中にすでに現れている既知の語です。
前述の「私の本は・・・」の「私の本」は既知の語ではなくストーリーの中で初めて登場する語(導入語句)です。だから。
× There is my book on the desk.
という結果になったのです。
なお
○ My book is on the desk.
と表現したときのmy bookは、すでにストーリーの中に登場しているか、少なくとも聞き手は「何のことを言っているのか」わかっていることになります。いきなり話題に登場した語(導入語句)ではありません。
他に、there構文が特定なものに使われるケースをみてみましょう。
限定する語が付いた場合
There is the fact that ~
「~という事実がある」
→ 同格のthatによってfactが限定されている
There is still the problem of sex discrimination in the workplace.
「職場には依然として性差別という問題がある」
→ 同格ofによってproblemが限定されている
語を列挙する場合
A:Who can I ask? 「誰に聞けばいい?」
B:There’s James. 「ジェームズがいるじゃない」
A:Who can I ask?
B:There’s James, or Miranda, or Annie.
*この場合、単に語を列挙しているというより、相手に「こういう人がいる(ものや場所がある)」と、注意を促す意味で、単に存在を表すthereと違って比較的強く発音されます。
従って、
常にThere構文は不特定なもの(人)に使う
という考えは間違いだとわかります。
では、大学受験生に対してはどうように指導するべきでしょうか。
大学受験生への注意、特に、英作上の注意という点からthere構文を語るのなら、英作はストーリーの最初の数行を英語で表現させていることが前提となっていることが一般的なので、
英作文において、There構文は不特定なもの(人)に使う
と、割り切った考えで臨めば問題ないでしょう。