英語の散歩道10ー敗者の美学

 

敗者の美学

A loser’s principles

 

 トランプ大統領ホワイトハウスを去りました。

 彼の功罪はいろいろあるでしょうが、今は、そのことは置いておいて(Ignoring the merits and demerits of his achievement for the moment、Leaving his achievements and failures out of account for the time being、Aside from his achievements and failures ~)、

 

 引き際があまりにもひどかった

 往生際が悪かった

 潔く(いさぎよく)なかった

 

ように思えます。

 

 きれいに身を引く

 潔く立ち去る

 

ことをしていれば、反トランプ派からも少しは見直されたかもしれません。

 そう思ったとき、つまり、

 

 きれいに身を引く

 潔く立ち去る

 

と思ったとき、浮かんだ英語が

 

 leave office with grace

 leave Washington gracefully

 

でした。

 officeに関しては、以前にもお話したように

 

 go to schoolと表現すれば、schoolは「校舎」という単なる建物を表すのではなく、schoolの「機能」、あるいは、「本来の目的」を表し、「授業を受けにいく」という意味になります。

 

 一方、

 

 go to the schoolと表現すれば、「建物」を表すことになります。

 

 officeに関しても同様で、

 

 the(one’s) officeは「会社の建物」

 officeは「役職」、特に「官職、公職」を意味し

 

 take office

 assume office

 enter office

 「大統領に就任する」

 

という表現が代表格です。

 バイデン新大統領の就任式(inaugurationinauguration ceremony)に関するVOAの放送でも

 

 Biden Takes Office, Calls for ‘Unity’

 Biden came to office at a time of severe crisis in America.

 

という表現を使っていました。

 「潔く」ですぐに浮かんだ英語は

 

 with grace(gracefully)

 

でした。

with ~「~をもって」を使えば

 

 with ease = easily

 「容易さをもって」=「容易に」

 

となり、よく受験生が

 

 with 名詞 = 副詞

 

と覚える、あのwith ~です。

 

 with care = carefully

 with rapidity = rapidly

 with accuracy = accurately

 with drama = dramatically「劇的に」

 

という使い方をします。

 従って、

 

 with grace = gracefully

 「上品に、品をもって、優雅に」

 

となります。

 

 「品格をもって(with grace)身を引く」

 

 これこそが、

 

A loser’s principles

 敗者の美学

 

のような気がします。

 と、ここで立ち止まってしまいました。

 

 「潔く負けを認めて立ち去る

 

のも、美学なら

 

 「負けを認めず、とことんまでしがみつく

 

のも、敗者の美学かもしれません。

 

 I’m sorry.

 

と言った瞬間に「自分の過ちや非を認める」ことになります。

 「潔く負けを認める」という敗者の美学の根本には、日本独特の武士道があるのかもしれません。

 そもそも、アメリカには

 

 勝者の美学はあっても、敗者の美学はない

 

のかもしれません。

 考えてみれば、日本で英雄視されている真田幸村源義経楠木正成は敗者でした。

 

 If measured by American standards, they were all failures, and would not be heroes worthy of retaining their names in history.

 「アメリカ人の感覚からみれば、彼らは皆敗者であり、歴史に名を残すにふさわしい英雄ではないでしょう」

 

 とはいっても、

 

 大統領が新大統領の就任式に出席しないのは150年ぶりのこと

 

らしいです。

 

 勝者を称えることなく、飛行機に搭乗するべくタラップを上がっていく元Mr. President、いえ、Uncle Samの後ろ姿に「潔さ」を微塵にも感じませんでした。

 

 

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