教える英文法10ー最上級1

  •    最上級を使った文

    1  「~の中で」を意味する前置詞

 

  The whale is the biggest of all mammals.

  「クジラはすべての哺乳類の中で最も大きい」

 

  He is the cleverest student in the class.

  「彼はクラスで一番利口な学生だ」

 

  ofの次には複数名詞がくる。

  inの次には、場所や範囲を表す単数名詞がくる。

 

    2  theを付けるか、付けないか

    2.1 副詞の最上級

 

副詞の最上級にはtheを付けないことが一般的だが、

theを付けるときもある。

 

    2.2 同一の物 / 人における部分比較

 

同一の物において部分を比較したり、同一の人においていろいろな時を比較した最上級には、通常theを付けない

 

  The lake is deepest here.

  「湖はこのあたりが最も深い

 

  He looks happiest when he is reading.

  「彼は読書しているときが一番幸せそうに見える」

 

    2.3 補語にくるbest

 

bestが単独で補語で使われたときはtheを付けない

 

  In order to get around in the center of the city, it is best to use the subway.

  「都市部で動き回るには、地下鉄を利用するのが一番だ

 

    3  the 序数詞 + 最上級

 

   序数詞は最上級の前に置く。

 

  This lake is the second largest one in our country.

  「この湖は我が国で2番目に大きい湖です」

 

    4  最上級を強める語

 

   最上級を強める語に、much、by far、the veryがある。

 

    5  最上級を用いた表現

    5.1 「~ぶりの」と最上級

 

  We had the heaviest snow(snowfall) in ten years.

  It was the heaviest snow(snowfall) that we’ve had(seen) in ten years.

  「10年ぶりの大雪だった」

 

  「10年間で最もひどい雪だった」だから「10年ぶりの大雪だった」になる。

  前置詞はinとforのどちらも可。

  2つ目の英文は、「(例えば)昨日が10年ぶりの大雪だった」としても、今日も含めて「今まで降った降雪量で最大だった」と考えて現在完了形にする。しかし、「今日はもっと降るかもしれない」という気持ちがあれば過去完了形にしてもよい。

  seen(see)は「~を経験する」という意味。

 

    5.2 at one’s best

「最高の状態で」

 

  The cherry blossoms are at their best now.

  「桜は今が見頃だ」

 

  The storm was at its worst in the middle of the night.

  「嵐は真夜中頃が最悪だった。

 

    5.3 at (the) best

「せいぜい、よくても」

 

  He will get an average mark at best.

  「彼はせいぜい平均点ぐらいしか取れないだろう」

 

    5.4 make the most of

「~を最大限に利用する / 生かす」

    make the best of

「~を切り抜ける、(よくない条件でも)最大限に生かす」

 

  He made the most of his creativity.

  「彼は自分の持つ創造力を最大限に生かした

 

  He made the best of a bad condition.

  「彼はよくない状況も最大限に生かして切り抜けた

 

    5.5 not have the slightest(least / faintest など) idea

「~がまったくわからない」

   idea以外に、notion、concept、conceptionが使われる。

 

  I don’t have the least idea what to do.

  「どうすればいいのか、見当もつかない

   ideaとwhat to doの間に「~について」を意味するofあるいはas toが省略された文である。

 

    5.6 one of 最上級 / among 最上級

    ( among ~ = one of ~)

   「最も~なうちの一つ/ 一人」

 

  He is one of the cleverest students in his class.

  He is among the cleverest students in his class.

  「彼はクラスで最も利口な生徒の一人だ

   one of / amongの後には複数名詞がくる。

 

    《問題提起》

2.1 「theを付けないことが多い」と言ったのは、副詞でもtheを付ける場合があるからです。

 

2.2 「通常」と言ったのは、このケースにおいてもtheを付ける人がいるからです(特に、米語)。

 

2.3 bestの代わりに使える語にもtheを付けないことが一般的です。

 

  It is best.

  「それが一番だ

It is most desirable.

「それが最も望ましい

It is most advisable.

「それが最も望ましい

It is most attractive.

「それが最も魅力的である」

 

importantはtheを付ける人と付けない人に分かれます。

問題は、読むときに「どちらの意味で捉えるか」ということです。

 

  It is most important.

 

書き手は最上級の意味で表現していると考えれば

 

 「それは最も重要だ

 

となります。

 しかし、mostにはveryに近い意味があります。

 もしその意味なら

 

  「それは非常に重要だ

 

となります。

 文脈判断ということになるのですが、どちらとも決定できないときがあります。解釈するときには悩むところです。しかし、こういうときに非常に便利な日本語があります。

 

 以上のことは、形容詞のbestに関連した事柄です。

 副詞のbestに関連したことで、学習者が最も頭を悩ませる英文は

 

  His proposal is best refused.

 

でしょう。

 

  「彼の提案は最もうまく断られる」

 

と読んでも、どういう意味だかさっぱりわかりません。

 この形は文章の中にたまに現れるので注意が必要です。

 

5.1ですが、「~ぶりに」という表現でよく用いられるのは、for the first time in です。では、次の英語表現はどうでしょうか。

 

  We had the heaviest snowfall for the first time in ten years.

 

 しかし、for the first timeはfirstがあるので、最上級と一緒に使えません。そこで、

 

  We had a heavy snowfall for the first time in ten years.

 

 ところが、この表現にも問題がありそうです。

 大学受験生用のある英作問題集には、「for the first timeは行為に使い、状態には使わない」という趣旨の説明をしていました。

 しかし、次の英文はどうでしょう。

 

We’ve had good(fine) weather for the first time in a while.

「久しぶりによい天気になった」

 

 この英文をみるかぎり、「for the first timeは行為に使い、状態には使わない」という説明には無理がありそうです。

 

 では、なぜ

 

  We had a heavy snowfall for the first time in ten years

 

という表現は一般的ではないのでしょうか。for the first time in ~という表現を知っている生徒なら当然抱く疑問なので、教える側は相手が納得できる説明を用意しておく必要がありそうです。

 

 

 

〔ブログ作成者 注〕

「~ぶりに」についての詳しい解説は、以前のブログに書きました。

 

 このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

教える英文法 仮定法

教える英文法 仮定法

 
教える英文法: 比較表現

教える英文法: 比較表現