教える英文法13(仮定法2)ー未来の事実に反する仮定法
未来には、厳密な意味での“事実”は存在しない。前提条件である“事実”が存在しない以上、“事実に反すること”も存在しない、ということになる。
しかし、
ⅰ 未来において、述べたことが実現する可能性が高い―述べたことが事実となる可能性が高い。
ⅱ 未来において、述べたことが実現するかどうかの意識が低い。
というケースが考えられる。
こういう場合は、仮定法を使う意識が薄れ、通常の条件文(ifの文)になる。
例えば、天気予報から「明日、雨になる確率が高い」とわかっている場合は、
If it rains tomorrow, I will stay home.
と表現する。
逆に、「明日、晴れる確率が高い―たとえば、80%晴れと予報されている」場合、
「明日、雨なら」という表現は事実に反する可能性が高くなる
ということになる。
「事実に反している、あるいは、事実に反する可能性が高い」ときは仮定法を使う。
仮定法は時制を過去(以前)に一つズラすだけなので
If it rained tomorrow, I would stay home.
と表現することになる。
別の言い方をすれば、「明日、雨になる」可能性は万に一つということになる。
この気持ちを表す助動詞が万一のshouldで、
If it should rain tomorrow, I would(will) stay home.
とも表現できる。
- 他の仮定法と違って、shouldは、主節に助動詞の過去形を使わない、あるいは、助動詞自体を使わない場合がある。
「明日、雨になる可能性が少しは高い」と思っていれば、「雨になる」は事実通りになるかもしれないのでwillを使う。一方、「まず雨にはならないだろう」という気持ちがあれば、「雨になる」は事実に反する可能性が高くなるので、wouldを使う。
「仮の話をしよう」という気持ちがあるときはif ~をwere toで表現する。
If it were to rain tomorrow, what would you do?
「仮に明日雨が降れば、君はどうする?」
未来の事実に反する仮定法の基本形をまとめると
If S + V(過去形) ~ → S wouldなど + V(原形) ・・・
If S should V(原形) ~ → S would(will)など + V(原形) ・・・
If S were to V(原形) ~ → S wouldなど + V(原形) ・・・
となる。
なお、仮定法ではwasの代わりにwereが用いられるが、wasを用いることもできる―特に、口語ではwasが一般的である。
ただし、
It S were to ~
「仮にSが~すれば」
as it were
「いわば」
という慣用的な表現ではwereを用いるのが基本である。
さらに、
If I were you
《問題提起》
未来の事実に反する仮定法でも形はしっかりと決まっています。
ここでは主に2つのことが問題になります。
一つ目はshouldのケースです。
“一般的説明”でも述べたように、shouldを使った場合、主節には助動詞の過去形がこないとき、さらに、助動詞そのものがこないときがあります。通常、助動詞の過去形、例えば、wouldなどを見て「この文は仮定法だな」と判断します。Ifの中にshouldを入れることを要求する文法問題で、特に、助動詞がこないときに、どうして仮定法だと(ifの中にshouldが入ると)判断すればいいのでしょうか。
二つ目はwere toです。
were toを使った例文でよく使われている英文があります。
If the sun were to rise in the west, I would not change my mind.
「仮に太陽が西から昇ることがあっても、私は決心を変えないだろう」
「太陽が西から昇る」ことはあり得ない話です。そこで「仮に・・・があっても」と仮の話をしたのです。
たしかに、あり得ない話や起こりえる可能性が極めて低い話をするときは、「あくまで仮の話として聞いてくれ」という気持ちがこもります。
「were toは、起こる可能性が極めて低い場合、あるいは、起こる可能性がまったくない場合に使われる」と書かれている参考書も多いように見受けられます。間違いではないのですが、「were toは、起こる可能性が極めて低い場合、あるいは、起こる可能性がまったくない場合にしか使われない」という印象を読み手に与えているような気がするのです。
果たして、were toの用法をそこまで限定してもいいものでしょうか。
《解説》
略