教える英文法20(19の補足説明)ー「生活費」について

 「生活費」の英語表現について

 -前回のブログの補足-

 

 前回のブログで、「生活費」の英訳として

 

  my(our) living expenses

  あるいは

  my(our) living costs

 

を載せました。

 costを使った表現で

 

  *costsを使った場合、所有格がなければ、the costs of living = living costs「社会における(個人の)平均的な生活費」と受け取ってしまう人もいるようです。

   これは、

 cost-of-living index「消費者物価指数」(ジーニアス英和辞典)

the cost-of-living index(OALD

   という表現の影響を受けているのかもしれません。

 

という注意事項を書きました。

 この記述に少し補足すると、

 

 ジーニアス英和辞典に次の例文が載っています。

  the costs of living = living costs

  「生活費」

 OALDにも、costをprice (to be) paid for a thingと定義して同じ例文を載せています。

 従って、「生活費」を表現するのにcostを使って、

 

  my(our) costs of living = my(our) living costs

  the costs of living = living costs

 

のどちらでもいいわけです。

 ただ、expenseを使った場合、

 

  my(our) expenses of living = my(our) living expenses

  the expenses of living = living expenses

 

のどちらでも問題ないのに対して、costsを使えば、

 

所有格がなければ、the costs of living = living costs「社会における(個人の)平均的な生活費」と受け取ってしまう人もいる

 

というのも事実です。

 今、問題にしているのは

 

 特定の個人、例えば「私(私たち)」の「生活費」であって、「社会一般の個人」の「平均的な生活費」ではありません。

 

 「社会一般の個人」の「平均的な生活費」を示す指標として、「消費者物価指数」があります。

 総務省統計局によると、「消費者物価指数」とは、

 

 「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの」

 

です。

 要するに、

 

 「平均的な世帯が、その時、どれだけの額の商品を買えるか」

 

を示す数値のことです。

 景気がよくて給料が多ければ少々高い商品でも買うことができるが、景気が悪くなって給料が下がれば安い物を買います。

 それを示す指標である「消費者物価指数」を英語で、

 

cost-of-living index(ジーニアス英和辞典)

the cost-of-living index(OALD

   cost、of、livingをハイフン(-)で結ぶことによって形容詞化しています。

   a six-year-old boyのsix-year-oldみないたものです。

 

と言うのです。

 正確には、indexをいう語が必要ですから、

 

  the costs of living

 

は、「消費者物価指数」ではなく「特定の個人の生活費」を意味します。

 ただ、言葉の表現は簡略化されるときがあります。

 日本語で言っても

 

 「消費者物価指数」の「指数」を言わずに、同じ意味で「消費者物価」と言って通じます。

 

 それと同じように、英語でも、index「指数」を言わずに

 

  the costs of living

 

と表現しても

 

the cost-of-living index

 

のことを言っているのだな、と捉える人がいるのです。

 それを避けるためには、

 

 theではなく、「特定の個人」を示す所有格(myour)等を付けるほうが無難

 

なのです。

 expenseを使った場合は、所有格の代わりにtheでもいいのは、「消費者物価指数」を表すのに、

 

  the expense-of-living index

 

とは言わないからです。

 theで表現しても、表現者自身の「生活費」だな、と、相手は理解してくれます。

 

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