映画と英文法15ーhaveとhave got
映画と英文法15-haveとhave got
刑事:Your wife, she’s, she’s got the money in the family, doesn’t she?
今回は、haveとhave gotを取り上げますが、あまり意味のある検討材料ではありません。
今回の映画「逃亡者」は、アメリカ映画なので、アメリカ英語-以下、米語-を中心にして話すと、イギリス英語-以下、英語-よりは若干単純で、基本的にはhaveで表現できます。
所有(物、事、親類や兄弟のような人、病気、問題など)は、英米問わず、haveで表現できます。
今回のように、くだけた話し言葉(会話)では、英米ともに、haveの代わりにhave gotを使うこともよく見られることです。
I have a brother.
I’ve got a brother.
I have a 1960-model classic car.
I’ve got a 1960-model classic car.
I have a problem.
I’ve got a problem.
I have a headache.
I’ve got a headache.
I have an appointment with Mr. White at 10 a.m.
I’ve got an appointment with Mr. White at 10 a.m.
米語では、さらにくだけて、haveを省略し、
I’ve got a problem.「問題を抱えている」
I got a problem.
と、表現することもあります。
ただし、過去形で用いたり、準動詞(不定詞・動名詞・分詞)で用いたりすることはないので注意しましょう-すくなくとも、正用法とは認められないでしょう。
○ I had flu last week.「先週、インフルエンザに罹っていた」
× I had got flu last week.
○ He seems to have a brother.
× He seems to have got a brother.
さらに、反復・習慣の気持ちが入れば、have gotは使わないので、注意しましょう。
I don’t usually have wine.
「普段から、ワインは置いていないんだ」
→「普段、ワインは飲まないんだ」
I haven’t got any wine.
= I don’t have any wine.
「ワインがまったくない」
→「ワインが切れたから、買いにいかなければ」
I often have headache.
「普段からよく頭痛がするんだ」
I’ve got headache.
「今、頭が痛くなってきた(頭が痛い)」
I have headache.
「今、頭が痛い」
反復・習慣の気持ちが入れば、have gotは使わないが、「今、~」というときは、どちらも使います。
どちらを使うべきか、なんてことは意識せずに、基本的には、haveを使えばいいのです。実際の会話の場面で、「こんな場面は、have gotも使うんだ」という感覚を少しずつ身に付けていけばいいでしょう。
これは、have toとhave got toにも同じようなことが言えます。
「反復、習慣」はhave to、1つのことについて述べるのはhave got toを使うことが多いが-特に、くだけた英語では-、have toも用います。
「緊急性」を伴った場合でも、have got toがよく用いられるが、have toも用いられます。
このことは、OALD(Oxford Advanced Learner’s of Current English)の用例でも裏付けられます。
Do you often have to go to the dentist’s?
→ 反復・習慣
Have you (got) to go to the dentist’s today?
→ 1つの事柄(今日一回の事柄)で、ひょっとすれば、緊急性もあるかもしれないが、gotは括弧でくくられている。つまり、have toでもいいということになる。
The children don’t have to go to school on Sundays, do they?
→ 反復・習慣
You haven’t (got) to go to school today, have you?
→ 1つの事柄(今日一回の事柄)だが、gotは括弧でくくられている。つまり、have toでもいいということになる。
I have to be getting along(= must leave) now.
「そろそろおいとましなければ」
→ 緊急性が出ているが、have toが使われている。
なお、くだけた英語では、特に、1つのことがら、あるいは、緊急性があるときにhave got toを使われます-繰り返すが、have toでもよい。
「もう、行かなきゃ」
I have to go now.
I’ve got to go now.
米語では、さらにくだけて、haveを省略し、
I got to go now.
これを発音つづりで表現すると、
( I ) gotta go.
となります。
ところで、今回のセリフでは、moneyにtheが付いています。
通常、「特定の目的を示すお金」で、moneyにtheを付けたりしますが、基本的には、moneyにtheを付けません。
moneyにthe(あるいは、one’s)を付けると、
money = a lot of money、plenty of money
という意味になるのです。
辞書の定義を見てみましょう。
(ジーニアス英和辞典)
「富、財産、資産」と定義して、
lose one’s money「財産を失う」という例文を載せています。
さらに、
be in the money「大金持ちである(になる)」
という慣用句を載せています。
(COD)の定義
in the money = having plenty of money
(OALD)の定義
be in the money = be rich
以上の定義より、
be in the money
have the money
have got the money
= have plenty of money、be rich
となるわけです。
このinは「状態、状況」を表すinで、「~に包まれている」という感覚で捉えればいいでしょう。
be in the habit of ~ing = have the(a) habit of ~ing
be in good health = have good health
と同じです。
今回のセリフでは、「奥さん自身だけが金持ち」というより、in the familyが付いているので、
is in the money
ではなく
has(has got) the money
で表現したのです。
ちなみに、研究社新英和大辞典では、
in the money「金持ちで」(口語)
と、(口語)という条件で定義していますが、
OALDでも
(colloq)と条件付けています-colloqとはcolloquialism「口語体」の略語です。「会話(会話体、会話調)の英語」を、colloquial Englishと言いますが、それのことです。