英語の散歩道ー年をとる

「~になる」その2

 

以下、同僚に送ったメールです

「年をとる」という表現が一番気になっていた点だと言っていましたが、

 

 become old(er)

 

という、becomeに関する記述が抜けていました。

 もちろん、becomeで表現することも可能です。

 手元の辞書や、その他、文献には

 

 get old(er)

  grow old(er)

 

しか載っていなかったので、その2例について触れただけで、

 

 become old(er)

 

も、問題ありません。

 外国語というのはまことにやっかいなもので、理屈では(文法的には)可能でも、自然な表現として一般に使われているかは別問題ですから。

 例えば、

 

 「~するには、・・・するのが一番よい」

 

という日本語の英訳として、

 

 The best way to ~ is to ・・・.

  In order to(To) ~, it is best to ・・・.

 

など、いくつかの表現が考えられますが、

 

 In order to(To) ~, it is the best way to ・・・.

 

はどうか、ということになると、「慣用的に使わない」ということになります。

 文法的にはまったく問題なく、解釈の観点からみた意味も問題ないはずです。しかし、「一般的ではない」と言われてしまえば、それで終わりです。

 wayを使うのであれば、

 

 The best way to ~ is to ・・・.

 

 形式主語のitを使うのであれば、

 

 In order to ~, it is best to ・・・.

  To ~, it is best to ・・・.

 If you want to ~, it is best to ・・・.

  If you are to ~, it is best to ・・・.

 

と、bestを使い、ここでthe best wayは使いません。

 best以外の単語を使うのであれば、most desirableやmost advisableを使って、

 

 In order to ~, it is most desirable to ・・・.

  In order to ~, it is most advisable to ・・・.

 など

 

と表現します。

 

 話をbecome old(er)に戻しますが、getが使えるのだからbecomeも、と、単純にいかないところが言葉のやっかいなところです。

 ちなみに、become old(er)を使った表現を1つだけ紹介しておきます。

 

 If you carry your childhood with you(,) you never become older.

 「子供のころの気持ちを持ち続ければ、決して年をとらない」

 

 チェコ生まれのイギリス人Tom Stoppardの言葉です。

 チェコで生まれ、シンガポールを経て、イギリスで有名になった劇作家です。

 彼の作品“Rosencrants and Guildenstern Are Dead”は、

 

 “ transferred to Broadway in 1967 and later received a Tony Award for best play.”

 

とあるように、ブロードウェイの優秀作品に授与されるトニー賞を取ったぐらいですから、アメリカ演劇界でも有名な人だったのでしょう。

 先生はまだまだ若いので、これからいくつもの疑問を解決し、多くの発見をしていくことでしょう。

 僕も、トム・ストッパードの言葉のように、

 

 If you carry your childhood with you you never become older.

 

と、新鮮な気持ちをもって挑戦していきたいところですが、現実は、

 

 You can’t fight aging.

 「年には勝てない」

 

というところです。

 


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