英語の散歩道ー動名詞の主語
動名詞の意味上の主語の形
前回のブログ“touch down”で、次の例文を挙げました。
The mere sight of him is like touching down for a moment.
この例文を挙げたとき思い浮かんだことがあるので、忘れないうちに書き留めておこうと思います。
動名詞の主語についてですが、普通に英語を学んでいる人なら、
動名詞の主語は、所有格か目的格
という基本的知識を持っているはずです。
例えば、
I’m proud of my son’s being a doctor.
I’m proud of my son being a doctor.
という英文で、
所有格my son’s、目的格my sonは、それぞれ動名詞beingの主語
の働きをしています。
roomのように、アポストロフィsを付けることができない場合は、
He complains of his room being too small.
のように、目的格(主格と同じ形)のthe roomを動名詞beingの主語として使います。
さて、動名詞の主語は、本来は所有格で、
I’m proud of my son’s being a doctor.
となるはずですが、my son’sの前に前置詞ofがあります。
前置詞の後には、前置詞の目的語
がきます。
目的語は当然目的格の英語を使うので、その意識が働けば
I’m proud of my son being a doctor.
と、目的格sonを使う人もいるわけです。
かくして、
動名詞の主語は、所有格か目的格
となるわけです。
本題に入りますが、The sight of ~の、~の部分に、主語と動詞から文を入れるとどうなるでしょうか。
もちろん、前置詞(of)がある以上は動詞にはingを付けて動名詞にしなければなりません。
例えば、
「少年が子犬と散歩しているのを見るだけで、ほっこりする」
という日本文を考えてみましょう。
「子犬と散歩する」
は、
walk with a dog
ですが、ofの後にくるので、
walking with a dog
となります。
「少年」はwalk(walking)の主語なので、所有格か目的格にして
The mere sight of a boy’s walking with his dog makes me heartwarming.
The mere sight of a boy walking with his dog makes me feel calm and peaceful.
の、どちらでもいいはずです。
しかし、このケースでは、目的格boyを使った英文で表現するのが普通なのです。
sightの動詞はseeです。seeを使って、
「少年が犬と散歩しているところを見る」
の英文は、
I see a boy walk with his dog.
です。
seeの後は目的語なので、当然、目的格の英語boyがきます。この意識が働き、seeを名詞sightで表現しても、そのまま目的格boyが続くのです。
従って、このケースでは、
The mere sight of a boy walking with his dog makes me ~.
と、目的格を使って動名詞の主語を表すことが一般的なのです。
その言葉のシャワーを浴びることができない環境での外国語学習において、文法が大切なのは言うまでもありません。しかし、文法が先にあるのではなく、その時々の意識や目的を持って表現されたものを体系的に整理したものが文法であることも忘れてはいけません。
自戒を込めて。