映画と英文法11

 

 

映画と英文法11

 

 今回は、2つのセリフを取り上げます。

 1つ目は、手術中に発した、一人の医師の言葉

 

 They’re all messed up.

 

 ここでのtheyは、患者が示す数値のことで

 

 「どれもこれもすべてめちゃくちゃだ」

 

と言っています。

 つまり、「ほとんどお手上げ状態だ」というわけです。

 mess upは「(部屋など)を散らかす、~を台なしにする」という意味で、自分の部屋に、たとえば、飼い猫などが入ってきて、部屋を荒らされたら

 

 My room is messed up.

 

と言えばいいのです。

 「コロナウィルスのために、商売、あがったりだ」と言いたければ

 

 The new coronavirus is messing up my business.

 

と言えばいいのです。

 「部屋がかなり散らかっている」のなら、名詞のmessや形容詞のmessyを使って、

 

 My room is in a total mess.

 My room is totally messy.

 

と言えます。in a messのinは「状態」を表しますが、省略する人もいます。

 

 もう一つのセリフは、キンブルの言葉で

 

 Just give me some room.

 

です。

 このroomは「余地、場所、空間、スペース」という意味で、部屋のroomと違って、数えられません。だから、冠詞のaや、複数形を示すsが付いていないのです。

 

 make room for

 「~のために場所を空ける」

 leave room for

 「~のための余地を残しておく」

 

という使い方が代表的な表現ですが、

 

 His guilt leaves no room for doubt.

 「彼に罪があることは、疑う余地がない

 

という、比喩的な意味でも使います。

 なお、数えられない名詞は、「一つ、二つ、というように、はっきりと分けること-数えること-ができない」名詞のことです。

 本来なら「一つ、二つ」と数えられないはずですが、

 

具体性がでてきたり、種類を示す

 

ときは、数えられる感覚が出て、aやsを付けたりします。

 

 We have good service.

 

と、「サービスに一つも二つもない」ので、serviceは基本的には数えられません。しかし、

 

 We also have a laundry service.

 「洗濯するサービスも行なっております」

 

と、具体的なサービスの種類を言うときは、数えられる名詞に変化します。これは、「一種類のサービス、二種類のサービス」と、サービスに具体性が出るからです。

 「損害」を意味するdamageも数えられませんが、「損害賠償金」と、具体性が出れば、damagesと言います。

 

 音声付き解説は、後日、youtube「映画と英文法11」で公開予定。

 

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前回の追加

(追加)

He died young.

( He died. + He was young. )

「彼は若くして亡くなった」

 

It is important to venture into the unknown confident at least of our direction.

( you venture into the unknown + you are confident at least of our direction )

少なくとも自分の進む道(方向)に自信を持って、未知の世界に思い切って飛び込んでいくことが大切だ」

映画と英文法10

映画と英文法(逃亡者)10-補語の合体

 今回は、妻のヘレンが夫のキンブルに残した最後のセリフから

 

 I’ll wait up for you.

 「起きて待っているわ」

 

「~を待つ」は

wait for ~

です。

 

一方、「起きている」は

 be up

です。

 このbe up「起きている」は英語学習者にとってなかなかのクセモノです。

 というのは、「起きる」は

 get up

と知っていても、「起きている」が浮かばないからです。これは、英語学習を始めたときに、意味なくget up「起きる」を教えられるからだと思います-英語を体系的に学習していない者でもget up「起きる」を知っているかもしれません。

 「疲れている」は

 be tired

です。

 「結婚している」は

 be married

です。

 「興味を持っている」は

 be interested

です。

 これらの表現をそれぞれ「疲れる」「結婚する」「興味を持つ」に変えたいとき、beをgetにして

 get tired

 「疲れる」

 get married

 「結婚する」

 get interested

と表現するはずです。

 他の場合も同様で、

beをgetに変えることによって、「~している」が「~する」

になります。

 従って、

 be up

 「起きている」

という表現のbeをgetにして

 get up

にすると、「起きる」になります。

 他の表現、たとえば、「疲れている」はbe tiredと習った後、beをgetに変えることによって「疲れる」になる、と学ぶわけです。

 それが、「起きている」に関しては、先にget up「起きる」を覚えたので、他の表現とは逆の行程-getをbeに変えることによって、「起きる」が「起きている」になる思考-が浮かばないのです。

 もちろん、get up「起きる」を早い段階で学ぶことに異論はありませんが、本来の学習行程-「~している」( be ~ )を「~する」( get ~ )にする行程-とは逆なのです。

 「起きている」が表現出来ないのは、おそらく、そのためでしょう。

 ちなみに、「起きている」は、be以外にstay、sitを使って

 stay up

 sit up

とも表現します。

 ここで、本題に戻りましょう。

 初めに紹介したセリフ

 I’ll wait up for you.

 wait for you

 「あなたを待つ」

 be up

 「起きている」

が合体した表現です。

 このときbe動詞は省かれます。

 文法的に説明すれば、

 (be) upは、「私が待っている」ときに状態を説明しているので補語(C)ということになります。

 このように、主語の状態(状況)を説明する補語(C)を別の文に組み込むときはbe動詞を省いて合体させます。

 

 He came home.

 「彼は帰って来た」

 +

 He was tired.

 「彼は疲れていた」

 =

 He came home tired.

 「彼は疲れて(疲れた体で)帰ってきた」

 

 I was up all night.

 「私は徹夜した(夜通し起きていた)」

 +

 I was studying for the English exam.

 「私は、英語の試験勉強をしていた」

 =

 I was up all night studying for the English exam.

 「私は徹夜で英語の試験勉強をした」

 

 英語音声付き解説は、近日中、Youtubeで予定予定

 

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映画と英文法9

 to不定

 今回は、to不定詞の中の2つの用法を取り上げます。

 キンブルが、パーティー参加者の男性たちと話している妻のヘレンを連れ出す際に、男性たちに向かって言います。

 

 There’s nothing to see here.

 「ここには目新しいものは何もない」

 

 to see hereはnothingという名詞を修飾しています。

 名詞を修飾するのは形容詞なので、

 

to不定詞の形容詞的用法

 

ということになります。

 

 Kyoto has a lot to offer.

 「京都は、提供するものが多い」

 →「京都には、観光名所がたくさんある」

 = Kyoto has a lot of tourist attractions.

 

 直前の名詞を修飾する形容詞的用法には、toの後に能動態が続く文と受動態が続く文では意味が異なる場合があります。詳細は、前回のブログ“英語の散歩道-能動態と受動態”を参照してください。

 

 2つ目は、キンブルの自動車電話にかけてきた相手の男性がキンブルに向かって、

 

 Sorry to bother you, sir.

 「お邪魔して申し訳ありません」

 

 to以下は、

( I’m ) Sorry

「申し訳ありません」

 

と言っていることの原因を述べています。

 toの前には、

 

 glad、happy、pleased、surprised、relieved、reassured、embarrassed

 

など、感情を表す形容詞(あるいは、形容詞化された分詞)がきて、一般に、副詞的用法・感情の原因と呼ばれる用法で、「~して」という意味になります。

 他の例を挙げておきましょう。

 

 I’m glad to have you home.

 「あなたを自宅にお招きできてうれしいです」

 

音声付き解説はyoutube”映画と英文法9”で公開中

 

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英語の散歩道16ー能動態と受動態

 “英語の散歩道”としては、6月以来の久しぶりの更新です。

 今回は、「能動態と受動態」についてお話しします。

 一般に、能動態と受動態は、どちらの表現が使われているかを別にすれば、同じ意味を伝えます。

 しかし、能動態を受動態に、逆に、受動態を能動態にすることによって異なる意味を伝えることもあるので、注意することが必要です。その意味で、安易に両者を書き換えて表現することには危険性があります。

 例えば、

 

 「私はその知らせに驚いています

 I’m surprised at the news.

 

を能動態に変えて

 

 The news surprises me.

 

と表現すると、

 「その知らせは私を驚かせる

という意味になって、明らかに、おかしな表現になってしまいます。

 「~に驚いている」は「今の状態」を表しますが、能動態に変えたために、「状態」を表すbe動詞が消えてしまったからです。

 

 The news surprises me!

 

が、文意として成立するとしたら、ある知らせが急に届いて、「びっくりしたなあ!」という意味を伝える表現、ということになります。逆に、このときは、

 

 I’m surprised at the news.

 

は、おかしな表現ということになるでしょう。「びっくりした」という瞬間的な気持ちを伝えるのに、「驚いています」という状態を伝える表現はおかしいからです。

 

 別の例を取り上げると、

 

 「ニューヨークほど、多くの言語が使われているところはほとんどない」

 There are few places where so(as) many languages are used(spoken) as in New York.

 

を、能動態にして

 

 There are few places where people use(speak) so(as) many languages as in New York.

 

と表現すると、

 

 「ニューヨークほど、人が多くの言語を使っているところはほとんどない」

 

という意味になります。

 「一人の人間が多くの言語を使う」、いわゆる、「バイリンガルトリリンガルが多い」という、別の意味を伝えてしまいます。

 

 もう一つ例を挙げると、

 

 I have a lot of work to do.

 「するべき仕事がたくさんある」

 

とは言っても

 

 I have a lot of work to be done.

 

とは言いません。

 これは、主語がIなので、能動の意識が働いてto doとなるためだと考えられます。

たしかに、受動態の場合、be doneの主語はworkなのですが、どうしてもI be doneという意識が働いて違和感を覚えるためかもしれません。

 その証拠に、Iではなくthereで始めると、

 

 There’s a lot of work to do.

 There’s a lot of work to be done.

 

のどちらの表現も認められ、同じ意味を伝えます。

 ところが、workを~thingという単語に変えると、能動態を受動態では伝える意味が異なってきます。

 

 There’s nothing to do.

 「することが何もない(何も娯楽がない)」

 There’s nothing to be done.

 「どうしようもない(それを元どおりに直す方法はない)」

 -オックスフォード現代英語用法辞典より

 

 workとは違って、nothingのような汎用性が強い語は、能動態の場合は、「私、あるいは、私たちがする」という能動性が出るのに対して、受動態の場合は能動性が出ません。「なされることがない」、つまり、「どうしようもない」という意味になるのは、能動性がないことに起因しているのかもしれません。

 

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英語の散歩道16ー能動態と受動態

 “英語の散歩道”としては、6月以来の久しぶりの更新です。

 今回は、「能動態と受動態」についてお話しします。

 一般に、能動態と受動態は、どちらの表現が使われているかを別にすれば、同じ意味を伝えます。

 しかし、能動態を受動態に、逆に、受動態を能動態にすることによって異なる意味を伝えることもあるので、注意することが必要です。その意味で、安易に両者を書き換えて表現することには危険性があります。

 例えば、

 

 「私はその知らせに驚いています

 I’m surprised at the news.

 

を能動態に変えて

 

 The news surprises me.

 

と表現すると、

 「その知らせは私を驚かせる

という意味になって、明らかに、おかしな表現になってしまいます。

 「~に驚いている」は「今の状態」を表しますが、能動態に変えたために、「状態」を表すbe動詞が消えてしまったからです。

 

 The news surprises me!

 

が、文意として成立するとしたら、ある知らせが急に届いて、「びっくりしたなあ!」という意味を伝える表現、ということになります。逆に、このときは、

 

 I’m surprised at the news.

 

は、おかしな表現ということになるでしょう。「びっくりした」という瞬間的な気持ちを伝えるのに、「驚いています」という状態を伝える表現はおかしいからです。

 

 別の例を取り上げると、

 

 「ニューヨークほど、多くの言語が使われているところはほとんどない」

 There are few places where so(as) many languages are used(spoken) as in New York.

 

を、能動態にして

 

 There are few places where people use(speak) so(as) many languages as in New York.

 

と表現すると、

 

 「ニューヨークほど、人が多くの言語を使っているところはほとんどない」

 

という意味になります。

 「一人の人間が多くの言語を使う」、いわゆる、「バイリンガルトリリンガルが多い」という、別の意味を伝えてしまいます。

 

 もう一つ例を挙げると、

 

 I have a lot of work to do.

 「するべき仕事がたくさんある」

 

とは言っても

 

 I have a lot of work to be done.

 

とは言いません。

 これは、主語がIなので、能動の意識が働いてto doとなるためだと考えられます。

たしかに、受動態の場合、be doneの主語はworkなのですが、どうしてもI be doneという意識が働いて違和感を覚えるためかもしれません。

 その証拠に、Iではなくthereで始めると、

 

 There’s a lot of work to do.

 There’s a lot of work to be done.

 

のどちらの表現も認められ、同じ意味を伝えます。

 ところが、workを~thingという単語に変えると、能動態を受動態では伝える意味が異なってきます。

 

 There’s nothing to do.

 「することが何もない(何も娯楽がない)」

 There’s nothing to be done.

 「どうしようもない(それを元どおりに直す方法はない)」

 -オックスフォード現代英語用法辞典より

 

 workとは違って、nothingのような汎用性が強い語は、能動態の場合は、「私、あるいは、私たちがする」という能動性が出るのに対して、受動態の場合は能動性が出ません。「なされることがない」、つまり、「どうしようもない」という意味になるのは、能動性がないことに起因しているのかもしれません。

 

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