教える英文法25ー英語表現への応用

 今回は英作文について考えてみましょう。

 まず、絶対に避けたいことは、

 

 英文として破綻している文は書かない

 

ということです。

 当たり前のように思えますが、受験生が書いた英文の中には、

 

 主語だけで、動詞がない英文

 

など、

 

もはや英文としての体(テイ)を成していない、考えられないような答案も見受けられます。

 まずは、

 

 英文として認められる文を書くこと

 

を、常に心がける必要があります。

 その上で、

 

正確な英文法の知識を使って英文を書く

 

練習をしましょう。

 そのときに使う英文法は中学校か、せいぜい高校1年で習う知識で十分です。

 例えば、

 

 「私の家の向かいに24時間営業のスーパーがある」

 

という日本文の英訳を考えたとき、

「スーパー」を主語にするなら、

 

 There is an around-the-clock supermarket opposite my house.

 

と、there構文を使うことになるでしょう。

「私の家」を主語にするなら、

 

 My house is across (the street) from a supermarket that is open day and night.

 

と、there構文を使わずに英訳することになるでしょう。

 

 There構文は、不特定なもの(人)を主語にする

 

ことは、おそらく、どこの学校でも習っているでしょう*。

 

*1 there構文について

 

 There構文を、「特定なもの(人)」に使う

 

こともあります。

 

  「私の本は机の上にあります」

 

を英訳すると

 

  × There is my book on the desk.

○ My book is on the desk.

 

となることは有名ですね。

 

  There構文は不特定なもの(人)に使う

 

からです。

 従って、特定なもの(my book)をthere構文で表現できません。

 どうして

 

  There構文は不特定なもの(人)に使う

 

のでしょうか。

 その理由は

 

  There構文はストーリーの中で初めて「~がある / ~がいる」と紹介するときに使う(ある語をストーリーの中に「導入」するときに使う)

 

からです。

 では、次のケースはどうでしょう。

 

  There was a man called ~

   ・・・・・・・・・・・・

   中略

   ・・・・・・・・・・・・

  There was his daughter

  「~に彼の娘がいて、・・・」

 

 さらに別の文

 

  The big pines grew so thick that ~

   ・・・・・・・・・・・・

   中略

   ・・・・・・・・・・・・

  There is the scent of pines in the sun.

  「陽光をうけて松の香りが漂っている」

 

 his daughterもthe scent of pinesも「特定なもの(人)」を表している語です。

 しかし、his( = a man )、pinesはストーリーの中にすでに現れている既知の語です。

 前述の「私の本は・・・」の「私の本」は既知の語ではなくストーリーの中で初めて登場する語(導入語句)です。だから。

 

  × There is my book on the desk.

 

という結果になったのです。

 なお

 

○ My book is on the desk.

 

と表現したときのmy bookは、すでにストーリーの中に登場しているか、少なくとも聞き手は「何のことを言っているのか」わかっていることになります。いきなり話題に登場した語(導入語句)ではありません。

 

 他に、there構文が特定なものに使われるケースをみてみましょう。

 

 限定する語が付いた場合

  There is the fact that ~

  「~という事実がある」

  → 同格のthatによってfactが限定されている

  There is still the problem of sex discrimination in the workplace.

  「職場には依然として性差別という問題がある」

  → 同格ofによってproblemが限定されている

 

 語を列挙する場合

  A:Who can I ask? 「誰に聞けばいい?」

  B:There’s James. 「ジェームズがいるじゃない」

 

  A:Who can I ask?

  B:There’s James, or Miranda, or Annie.

 

  *この場合、単に語を列挙しているというより、相手に「こういう人がいる(ものや場所がある)」と、注意を促す意味で、単に存在を表すthereと違って比較的強く発音されます。

 

 従って、

 

  常にThere構文は不特定なもの(人)に使う

 

という考えは間違いだとわかります。

 では、大学受験生に対してはどうように指導するべきでしょうか。

大学受験生への注意、特に、英作上の注意という点からthere構文を取り上げるのなら、英作はストーリーの最初の数行を英語で表現させていることが前提となっていることが一般的なので、

 

 

  英作文においてThere構文は不特定なもの(人)に使う

 

と、割り切った考えで臨めば問題ないでしょう。

 

 さて、実際の医学系の某私立大学の入試問題(英作)を例にとって考えてみましょう。

 

 「科学者たちは、気候の変化によってCOが増えると、魚の持つお互いを認識しグループを作る能力が阻害されうることを発見した」

 

 「気候の変化によってCOが増える」という箇所ですが、通常「COの増加が気候変動、例えば、地球温暖化をもたらす」と考えられているので、日本語自体に問題があるように思えます。

COの増加が気候変動をもたらし、その気候変動がさらにCOを増やす原因の一つになっている-the climate change can contribute to the rise(increase) in carbon dioxide amounts-のであれば、日本語に問題はないのですが・・・。とりあず、その点はおいて、下線部

 

 「魚の持つお互いを認識しグループを作る能力

 

の英訳だけについて考えましょう。

 英作(英訳)は、自分の頭にインプットされている表現や語をアウトプットする作業です。

 インプットされていなければアウトプットするのにも限界があるでしょう。

 読解や解釈の時間に

 

 the ability(capacity) to ~

 「~する能力」

 

という表現にしばしば出会ったことがあるでしょう。

 そのときに、次のように説明することがあります-解説する講師の力量や考え方によって異なります。

 

 the ability(capacity、power、potential)の次にくる形は

 

 the ability for 名詞

 the ability to V

 the ability of S to V

 

 「SがVする能力」なら、

 

 the ability for S to V ~

 

になりそうですが-to ~の意味上の主語は前置詞forで表すことが多いので-、abilityのような「能力を示す語」(さらに、right「権利」)は、

 

 the ability of S to V

 

となります。

 これは、

 

 「Aの持つ / Aに属する

 

という「所有 / 所属」の意識がまず働くので

 

 the ability of A

 

と表現するのです。

 従って、

 

 「SのVする能力、SがVする能力」

 

 

 the ability of S to V

 

と表現します。

 読解や解釈の時間にこのように教えられていれば、

 

(S)の持つお互いを認識し(V1)、グループを作る(V2)能力」

 

と考えて、

 

 the ability of fish to recognize each other and form a group(groups)

 

と、正確に英訳できるでしょう。

 

 このように、学習者が読解(解釈)で得た知識を英作(英訳)に生かすようにもっていくことが大切です。

 

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教える英文法24ー仮定法の落とし穴

仮定法の落とし穴

 仮定法は「事実に反する、あるいは、事実に反する可能性が高い」ときに使われることは確かです。

 しかし、それを厳格なまでに意識し過ぎると、文意や、相手が言っていることが分からなくなるかもしれません。

 次の文を見てみましょう。

 

Japanese traditionally speak indirectly, leaving the listener to figure out what the point is. Thus, while an American might say to a friend, “I don’t think that coat goes very well with the rest of your outfit,” a Japanese might say, “Maybe this other coat would look even better than the one you have on.” Americans value a person who ‘get right to the point’.

 

 mightは仮定法ですが、「アメリカ人じゃないから・・・と言わない」なんて、事実に反する云々を言っているわけではありません。

 仮に、相手が選んだ服に対する感想を求められたときに、アメリカ人なら「その上着は君が今身に付けているものと合っているとは思わない」とはっきりと言うかもしれないのに対して、日本人は「たぶん他の上着のほうが、今身に付けているものと合うんじゃない」と、遠回しな言い方をするかもしれない、と言っているにすぎません。

 あくまでも仮定の話をしているわけで、アメリカ人の中にも遠回しな言い方をする人がいるかもしれませんし-おそらく、いるでしょう-、日本人の中にもはっきり言う人がいるかもしれません-おそらく、いるでしょう。念のため、仮定法mightで表現しているだけのことです。

 筆者の気持ちのなかには、「一般的にアメリカ人ははっきりと言うが、日本人は遠回しな言い方をする傾向がある」というのは事実だ、という意識があるのは文脈から明らかです。

 

 次の対話を見てみましょう。

 

A:If she weren’t foolish, she wouldn’t accept his proposal.

B:If she is foolish…

A:End of (the) story.

B:I’m just praying she’s not foolish.

 

 いきなりAは、「もし彼女がバカじゃないなら、あいつの提案を受け入れないだろう」と、仮定法を使っていますが、

 実際は、彼女はバカだからあいつの提案を受け入れるだろう。

なんて言っているわけではありません。

 続く会話

 

B「もし彼女がバカなら」

A「万事休す」

B「祈るしかないな。彼女がバカでないことを」

 

から、「彼女はバカだ」なんて思っていないどころか、「賢明な彼女なら彼の提案を受け入れないだろう」と願っている印象さえ受けます。

 実際には彼女がどんな行動に出るかはわかりません-愚かにも彼の提案を受け入れるかもしれません。そのため(念のため)仮定法を使っているのです。

 もちろん、どちらにころぶかわからなければ、仮定法を使わずに、

 

A:If she is not foolish, she won’t accept his proposal.

 

と言うこともできました。

 しかし、それは、彼女のことがよく知らないのでどんな行動に出るのか予測できないケースです。

 会話の内容から、二人は彼女のことをよく知っていて-彼女は賢明な女性だ-、「(賢明な彼女のことなら大丈夫だと思うが、それでも)もし彼女がバカなら、彼の提案を受け入れるかも」という不安もあるのです。その意識が仮定法を使わせているのです。

 

 If biologists weren’t as blind as the rest of us, they probably wouldn’t hesitate to classify dogs as social parasites.

 「もし生物学者の目が一般人(生物学者以外の人たち)ほど曇っていなければ、おそらく、彼らは犬を社会的寄生動物とちゅうちょなく分類するだろう」

 

 これを

 

 仮定法は常に事実に反する

 

と考えて、

 

 「生物学者の目は一般人(生物学者以外の人たち)と同じように曇っているので、彼らは犬を社会的寄生動物と分類することにちゅうちょするだろう-犬を社会的規制動物と分類しないだろう」

 

と解釈すると、おかしいことはすぐに気づくでしょう。

 筆者は、biologistsと、複数形を使っているのだから、

 

 「生物学者たちの生物に対する知識は、生物学を専門にしていない人たちと同レベルである」

 

と言っていることになります。

 当然、生物学者は、生物に対する見方、あるいは、分類の仕方は、一般人とは違っています。

 

 「生物学者の目は一般人(生物学者以外の人たち)ほど曇っていないので-犬に対しても一般人とは異なる見方をするので、通常の生物学者なら、おそらく、犬を社会的寄生動物とちゅうちょなく分類するだろう」

 

と言いたいのです。

 では、なぜ仮定法を使ったのか、ということですが、

生物学者の中には、犬を社会的寄生動物と分類しない人もいるかもしれない」

という可能性も考えたかもしれませんが、それ以上に、

 

 「普通の生物学者なら、その目は一般人(生物学者以外の人たち)ほど曇っていないはずなので-犬に対しても一般人とは異なる見方をするはずなので、当然、犬を社会的寄生動物とちゅうちょなく分類するだろう」*

 

という気持ちがこもっているのです。

 

  • ここでは、動物の分類の話をしているだけで、犬に感情があるかどうかの議論をしているわけではありません。もちろん、犬にも感情はありますし、生物学者といえども、そう思っているはずです。ただ、学会では、それを口に出せない空気も一部にあるようですが。

当たり前のことですが、動物にも、人間と同じ感情があり、性格があります。

   (13頭の猫と暮らしてきた書き手注)

 

 話を英語に戻しますが、何事にも原理・原則-英語なら、英文法-はありますが、その原則に縛られすぎると、文意や相手のイイタイコトを読み間違ってしまいます。

 要は、原理・原則を尊重しつつも、柔軟に対処することです。

 

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教える英文法23ー接続詞の落とし穴

接続詞の落とし穴

 慣れ親しんだ語ほど油断が生じるときがあります-そういうケースを、とりあえず、ファミリアトラップと名付けることにしました。

 辞書を引かないのはもちろんのこと、深く考えずに使って、その結果、間違った使い方をしてしまうことがあります。

 今回は、接続詞を取り上げることにしました。次に刊行する予定の“教える英文法”は接続詞にしようか計画していて、“問題提起”で扱う語や表現を整理する必要が出てきたからです。

 

  •  because ~「~なので」

1 「疲れているので、今夜やよく眠れそうだ」

  × Because I’m tired, I should be able to sleep well.

2 「空港に行く途中、渋滞にあったので、飛行機はすでに飛び立った後だった」

  × Because on the way to the airport I got caught in the traffic, the plane had already taken off.

3 「彼はいつもより早く寝たので、(彼は)疲れていたに違いない」

  × Because he went to bed earlier than usual, he must’ve been tired.

  •  while ~ing「~しながら」

1 「名も知らぬ花を見ながら、季節の移ろいを感じる機会が少なくなったように思われる」

  × I seem to have had fewer opportunities to sense the cycle of the seasons, while looking at unfamiliar flowers.

  while ~「~の間」

1 「彼が三日間病気で寝込んでいる間、彼女は彼を看病した」

  × She nursed him while he was ill in bed for three days.

  •  unless ~「~しなければ」

1 「彼女は厚化粧しなければうつくしい」

  × She’d be pretty unless she wore so much make-up.

  •  in case ~「~してはいけないので」

1 「朝寝坊してはいけないので、午前6時にアラームをセットした」

× I set the alarm for 6 a.m. in case I overslept.

2 「火事になってはいけないので、そのボタンには触れるな」

  × Don’t touch the button in case you should cause a fire.

  in case ~「~する場合」

1 「ロンドンを通ることがあったら、あなたに会いに行きます」

  × I’ll come and see you in case I pass through London.

  •  for fear (that) ~「~してはいけないので」

 「火事になってはいけないので、その機械を慎重に扱え」

1 × Manipulate the machine carefully for fear you might cause a fire.

  •  even if ~「たとえ~でも」

1 「たとえ彼の歌が好きでも、聞き飽きた」

  × Even if I like his songs, I’m tired of listening to them.

  •  even though ~「たとえ~でも」

1 × Even though it rained, he invariably went out.

    「たとえでも、彼はいつも決まって出かけていった」

  •  if ~「~かどうか」

 「~かどうか」にwhetherを使ってifを使わないケースがいくつかある。

 1 主語は補語にこない

 2 if not ~は×。if ~ notなら可。

 3 if to ~

 4 前置詞の目的語(前置詞の後)

 5 同格

 次の文は、動詞の目的語になっていて、上述の原則には抵触していないが

 × We discussed if we should close the shop.

   「私たちは店を閉めるべきかどうかを議論した」

  •  「~だけれど」

1 × Clever although he is, he knows little of the world.

    「彼は利口だが、世辞に疎い」

 

 接続詞はひとつひとつの意味と用法を理解し、その後、注意すべきことがら-例えば、使ってはいけないケース-を学んでいけばいいでしょう。

 

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教える英文法22(不定詞)ー期待に反するonly to

 基本文法や基本構文で習ったことをいかに生かすことができるかが、英文を読む際には大切なことです。

 英文法の授業で、準動詞の不定詞(副詞的用法)を扱った際、only toの用法を学ぶ、あるいは、教えるはずです。

 

 only toは「期待に反する結果」を導く。

 

 この「期待に反する結果」という点が重要なのです。

 ここでの「期待」は、「希望する」という意味ではなく、「予測する」という意味です。

 一部の参考書や予備校のテキストなどに「よくない結果を導く」と説明されてものもありますが、その理解では、英文の区切りがわからなかったり、最悪の場合、本文の内容が読めなかったりします。

 

 only toは「期待(予測)に反する結果」を導く。

 

と、しっかり理解しましょう。

 具体例を見ていきましょう。

 

 He worked hard to carry out his plan, only to fail.(ジーニアス英和辞典より)

 「彼は自分の計画を実行しようとけんめいに努力したが、結局失敗に終わっただけだった」

 → worked hard「けんめいに努力した」のはsucceed「成功する」ことを期待したからです。しかし、その期待に反してfail「失敗した」のです。

 

 I told the truth only to find that I was not believed.

 「真実を語ったが、信じてもらえなかった」

 → told the truth「真実を語った」のは、be believed「信じてもらえる」ことを期待したからです。しかし、その期待に反してwas not believed「信じてもらえなかった」のです。

 

 ここで、注意点を一つ挙げておきましょう。

 only to ~の前に常にコンマがくるわけではありません。そのため次のケースと間違わないようにしましょう。

 

A child does not play spontaneously only to while away the time.

 「子供は、ただ時間を無為に過ごすために自発的に遊んでいるわけではない」

 

 この場合は、副詞的用法・目的のtoにonlyが付いているだけで、「ただ~するために(ためだけに)」という意味になります。

 文脈判断ということになりますが、

 

 基本的には「期待(予測)に反する結果」を導くonly to

 

としっかり理解したうえで、「ただ~するために(ためだけに)」という意味になることもあると頭の隅に留めておきましょう。

 さて、本題に入ります。

 

〔問題〕次の英文を読んで、下の問に答えなさい。

 

 In considering what we share with our ape relatives, the easiest comparison is in fact between male chimpanzees and men. Chimpanzee males hunt together, form coalitions against political rivals, and collectively defend a territory against hostile neighbors, yet at the same time they vie for status and compete for females. This tension between bonding and rivalry is very familiar to human males on sports teams and in corporations. (  1  ) In You Just Don’t Understand, the linguist Deborah Tannen reports how men use conflict to negotiate status, and actually enjoy sparring with their friends. When things have gotten heated, they make up with a joke or apology. (2)Businessmen, for example, will shout and bully at a meeting, only to take a restroom break during which they joke and laugh it all off.

 

問1 空所(1)に入れるのに最も適切な文を、(ア)~(エ)の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。

(ア)They try to play fair in a sports game and at they workplace at first, but they most likely end up ruining their rival’s efforts due to their competitive nature.

(イ)For example, tensions between two male opponents in a match can make their relationship deeper and amazingly lean them to choose almost the same offence strategies.

(ウ)Men intensely compete among themselves while still realizing that they need each other to prevent their team from going under.

(エ)It is now concluded from the observed comparison that chimpanzees and human beings have evolved a similar pattern of neural networks concerning an empathy ability.

 

問2 下線部(2)の意味として最も近いものを、(ア)~(エ)の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。

(ア)In order to keep a friendly atmosphere where they can joke around, people working at a company learn how to stand being shouted at or bullied.

(イ)Businessmen sometimes have to voice their sincere opinions in a more direct manner so that they can get along with each other during off-duty hours.

(ウ)One example is that men at work often show opposite attitudes in different situations such as shouting jokingly and laughing sarcastically.

(エ)Men in business settings sometimes get excited and criticize each other at a meeting, but they often try to be on good terms outside the room.

 

 

〔解答・解説〕

 プロの文章家は、

 

同じ内容を述べるのに単語や表現を変えてくる

 

ことを覚えておきましょう。

 

問1

 前文で

This tension between bonding and rivalry is very familiar to human males on sports teams and in corporations.

「きずなと対立との間にあるこの緊張関係は、スポーツや企業内で、人間の男性にはかなり馴染みのあるものである」

と言っています。

 This tension between bonding and rivalry 「きずなと対立との間にあるこの緊張関係」が、前文の「チンパンジーのオス」の行動に関する記述を指していることはあきらかです。

Chimpanzee males hunt together, form coalitions against political rivals, and collectively defend a territory against hostile neighbors

チンパンジーのオスは、集団で狩りをし、政治的ライバルに対しては共闘し、傍にいる敵対者に対しては共同して縄張りを守る」

という文が、bonding「きずな」に相当します。

 しかし同時に(yet at the same time)

they vie for status and compete for females.

「彼ら(チンパンジーのオスたち)は、地位を得るため張り合い、メスを巡って競い合う」

と言っています。この文がrivalry「対立」に相当します。

 vieという語はあまり馴染みがないかもしれませんが、

 プロの文章家は、同じ内容を述べるのに単語や表現を変えてきます。次の基本語compete forと同じ意味だと推測できるはずです。

 ここまで読めれば、

 

 「人間の男性にも、きずな-協力して事に当たること-と、対立-お互いに競い合う-という、緊張関係が存在する」

 

とわかります。

 それと同じ内容を述べているのは

 

(ウ)Men intensely compete among themselves while still realizing that they need each other to prevent their team from going under.

  「男性は、互いに激しく競い合うが(対立)、しかし同時に、自分のチームが負けることを妨げるためにはお互いを必要としていると認識している(きずな)」

 

だとわかります。

 ・・・, while ~ingは、「・・・と~が同時に起こっている」ことを表し、「・・・し、そして同時に~。~しながらも(同時に)・・・」という意味の重要表現です。「・・・と~が対照的なことを表す」(・・・し、しかし一方~)用法ではないので注意しましょう。

 「それでも、それにもかかわらず」を意味するstillがあるので、「・・・し、しかし同時に~する」と読めばいいでしょう。

 

問2

 下線部の前半で

 Businessmen will shout and bully at a meeting

 「ビジネスマンは会議で叫び威張り散らすものだ」

 (willは「習性・傾向」の用法で「~するものだ」という意味)

と言っています。

 bullyは「威張る、~をいじめる」という基本語ですが、その意味がはっきりわからなくても、この文が前文の

 

 When things have gotten heated

 「状況が白熱したとき」

 

に相当することから、言っている内容が推測できます。

 

 only toは「期待(予測)に反する結果」を導きます。

 

 「会議で議論がヒートアップし、場合によってはののしり合うこともあります。そのままいけば、お互い仲違いをして終わるという結果が予測されます」

 

 しかし、only toは「期待(予測)に反する結果」を導くので、

 

 予測に反して

take a restroom break during which they joke and laugh it all off

 「トイレ休憩をとって、その間、冗談を言い合ってすべてを笑って片づける」

 

のです。

 この文は、前文の

 make up with a joke or apology

 「冗談を言ったり、謝ったりして、仲直りする」

に相当します。

 前述のように、「よくない結果を導く」という理解では本文の内容を読み間違えます。「冗談を言い合ったりして仲直りすること」は、「よくない結果」ではなく「いい結果」なのですから。

 

 only toは「期待(予測)に反する結果」を導く

 

という読み方を心がけましょう。

 以上の内容が読めていれば、正解は、

 

(エ)Men in business settings sometimes get excited and criticize each other at a meeting, but they often try to be on good terms outside the room.

  「ビジネスの場で、会議中、男性は時には興奮しお互いを批判するが、しばしば(会議の)部屋を出ると良好な関係を築こうとする」

 

とわかります。

 A be on ~ terms with B

 「AはBと~の間柄(関係)である」

は重要な慣用表現です。

 be on good terms with ~「~と仲がよい、良好な関係である」

 be on bad terms with ~「~と仲が悪い」

 be on speaking terms with ~「~と言葉を交わす間柄である」

 

 基本的な事(文法・構文)を押え、それをいかに実戦の場で生かすことができるかが、勝敗の分かれ目になります。

 

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英語の散歩道15ーたかがseem、されどseem

たかがseem、されどseem

 

 受験生にとってseemと言えば、

 「~のように思われる、~らしい、~のようだ」

という意味とともに、

 It seems that S + V ~.

 = S seem(s) to V ~.

 It seems that S + Ved ~.

 = S seem(s) to have Ved ~.

という書き換え問題で、お馴染みの表現ではないでしょうか。

 あとは、たまに英文の中に出てくる表現、といったところでしょうか。

 ところが、このseemがなかなかの曲者で、厄介なところがいくつかあります。

 

 次の日本文に対する英語表現を考えてみましょう。

 

 「疲れているので、今夜はよく眠れそうだ

 I’m tired, so I seem to be able to sleep well tonight.

 

 この英文に対して、「seemを未来の出来事に対して使うのは不適当」と回答するネイティブもいます。

 (正しい英文は

 I’m tired, so probably I’ll sleep well tonight.

 I’m tired, so I should be able to sleep well tonight.)

 

 「なぜseemを未来の出来事に対して使うのは不適当」

という意識が働くのか、その理由を知りたいわけです。

 

 たしかに、

 「ナーバスになっているので、、眠れそうにない」

なら

 

 I’m nervous, so I can’t seem to sleep.

 

となります。

 

 では、次のケースはどうでしょう。

 

 「来月、彼は大阪に引っ越す予定だ」

 He’s going to move to Osaka next month.

 He’s moving to Osaka next month.

 He’ll be moving to Osaka next month.

 

 3つの英文のうち、最後の英文を取り上げましょう。

 He’ll be moving to Osaka next month.

 

 「来月、彼が大阪に引っ越すことは確定的な予定」ですが、これが、確定的ではなく、

 「(どうやら、)彼は大阪に引っ越すようだ

と、推測する気持ちがあったとしましょう。

 英文は、

 

 He seems to be moving to Osaka.

 (ジーニアス英和辞典の例文より)

 

となります。

 あるいは、

 

 It seems likely to rain.

 「雨らしい」

 (ジーニアス英和辞典、研究社新英和大辞典の例文より)

 

という用例もあります。

 上の2つの用例は

 「seemを未来の出来事に対して使うのは不適当」

という説明と一見食い違っているように思えます。

 たしかに、単純に

 「seemを未来の出来事に対して使うのは不適当」

と考えるのは少々危険なような気がします。

 しかし、

 「疲れているので、今夜はよく眠れそうだ

というケースで

 「seemを未来の出来事に対して使うのは不適当」

と考える、いわゆる肌感覚は間違いなさそうです。

 いったいどういうことでしょうか。

 

 CODOALD、PODなどに載っているseemの定義をみてみましょう。

 

 seem:give the impression or sensation of being

    be apparently perceived or ascertained to do or have done

 (CODの定義より)

 

 つまり、seemは

 「そうである、そうする、そうしたという印象、感覚、知覚、認識を、、与える、あるいは、もっている

という意味なのです。

 この「、もっている、与える」という意識が重要なのです。

 

 「(どうやら、)彼は大阪に引っ越すようだ

 He seems to be moving to Osaka.

というケースでは、彼が大阪に引っ越すのは未来かもしれませんが、いろいろな情報から、「彼が大阪に引っ越しそうな感覚、あるいは印象を、もっている」のです。

 

 It seems likely to rain.

 「雨らしい」

というケースでも、空模様から「雨が降りそうだと、感じている」のです。

 

 それに対して、

 「疲れているので、今夜はよく眠れそうだ

のケースでは、「疲れていて、今にも寝てしまうかもしれないという感覚を、今、もっている」わけではありません。ただ、「疲れているから、今夜はぐっすり眠れそうだ」と思っているに過ぎません。

 その意識が働き

 「よく眠ることができるはずだ」

 I should be able to sleep well ~

 「おそらく-80%ぐらいの確立で-眠れるだろう」

 probably I’ll sleep well ~

と表現するのです。

 

 さて、seemの用法の習得にはまだ関門があります。

 ジーニアス英和辞典によると、to beの省略に関して、以下の記述があります。

 「happyのように程度を表す形容詞ではto beは省略できるが、singleのように段階的意味を表さない場合はto beは省略できない」

○ He seems (to be) happy.

○ He seems to be single.

× He seems single.

 名詞に関しても、「形容詞もなく程度を表すものでないときはto beは省略できない」として、

○ It seems (to be) nonsense.

○ He seems to be a students.

× He seems a students.

 「studentのように程度を表す名詞でないときも形容詞を伴うときはto beを省略することは可能」です。

 She did not seem (to be) a satisfactory candidate for the post.

 (ジーニアス英和辞典)

 He seems (to be) a nice fellow.

 (研究社新英和大辞典)

 Mary seems (to be) a nice girl.

 (オックスフォード現代英語用例辞典)

 the man who seems (to be) a good fellow

 (COD

 

 これは、おそらく、to beを伴わないseemの後には形容詞がくるという意識の表れだと考えられます。

 形容詞だとしてもsingleのように段階的意味を表さない語は、「独身か、独身でないか」という名詞的な印象を持つのでto beを省略しないのではないでしょうか。

 逆に、nonsenseのように、名詞であっても段階的意味をもつ語(ナンセンスさにも段階がある)は、形容詞的な意識が働くのではないでしょうか。その証拠に、段階的意味をもつ名詞であっても-例えば、foolは、愚かさには程度がある-、複数形になるとto beの省略は生じにくくなります(英語正誤辞典 荒木一雄著 研究者)。

 ? They seem fools.

 複数形のsが付くことで、形容詞的感覚がなくなり名詞的感覚が出てしまうのかもしれません。

 そう考えると、段階的意味を表さない名詞であっても形容詞を付ければto beを省略する人がいることに納得がいきます。

 英語表現の立場から考えると、seemの後に名詞を続ける場合、段階的意味かどうかの判断をするまでもなく、形容詞が付いていなければto beを書くほうが無難かもしれません。オックスフォード現代英語用例辞典に、「形容詞が付かない名詞の前では、seem to beがほとんど常に用いられる」と書かれていますから-seem to beほどの頻度はありませんが、名詞が後にくるときはseem likeも使われます。

 名詞だけではありません。形容詞が続く場合でも-その形容詞が段階的意味を表す平凡な語でも-、

「話者によって直接的に観察可能な状態、あるいは、容易に知覚できる状態を述べるものでなければto beを省略することはできない」(英語正誤辞典より)

ので注意が必要です。

○ Although I never got to see him, John seems to be fat.

× Although I never got to see him, John seems fat.

 知人などの話から、「ジョンが太っているようだ」という印象をもっていれば、seemを使うことは問題ありません。ただ、to beを省略しないのです。このケースは、上で述べた、「形容詞の感覚か、名詞の感覚か」とは異なる意識が働いているようです。

 単語が変わりますが、feelを使って、

 「この部屋は寒く感じる」

を英語で表現すると

 This room feels cold.

となります。

 I feel this room cold.

とは言いません。

 第5文型で、補語に形容詞をもってくると、「感覚的な意見、印象」に近い意味になります。

 CODでも、consider、thinkと定義して

 I feel it necessary to make a correction.

という用例を載せています-形式目的語itの場合は、通例to beは省略。

 ところが、to beを付けると「知覚、感覚」としての認容度が上がるようです。ジーニアス英和辞典にも、「肉体的、精神的知覚」の項目にfeel O to be C(Cは形容詞)を載せています-用例は載っていません。

△ I feel this room to be cold.

 △にしたのは、あくまで「認容度があがるというだけで、一般的な使い方とは断言できないからです。

 ところで、to beを付けることによって

 「どうして肉体的感覚、知覚の意識が生じる」

のでしょうか。

 先ほどの、seemでのケースで「話者によって直接的に観察可能な状態、あるいは、容易に知覚できる状態を述べる場合はto beを付ける」ということと関係があるのでしょうか。

 たかがseem一語のために長々と書いてきましたが、少々疲れてきたので、今回はこのへんで終わりたいと思います。

 大変な時期ですが、皆さん、くれぐれもお体には気をつけて。

 では、また。

 

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英語の散歩道14ー表現の簡略化

慣用表現による簡略化

 次の日本文の英語表現について考えてみましょう。

 

 「人の話を最後まで聞く」

 

 まず、「意識的に聞く」のだから、

 

 hear「勝手に聞こえてくる、耳に入る」

ではなく

listen to「意識的に聞く、耳を傾ける」

 

を使うことになります。

 「人」は

 

 「目の前にいる特定の相手」を示したいのなら、the other person

 「(一般的に)他者」なら、someone、other people、others

 

となります。

 「話」は訳出する必要はないでしょう。

 

 Listen to me.

 

と表現するだけで

 

 「私の言うことを聞いてくれ。私の話を聞いてくれ」

 

という意味になるからです。

 「話」の英訳をあえて考えようとすると、少し面倒なことを考えなくてはいけません。

ⅰ 名詞で表現

 the other person’s story (?)

 storyは「ストーリーのある話」。話をするときにいつもスローリーを決めているわけではない。

 the other person’s talk (△)

 たしかに、英和辞典は、名詞のtalkに「話」という訳を与えています。しかし、名詞のtalkには「講演、講演での話」というニュアンスが強いことに注意しなければなりません。

 

 名詞を使うのであれば、「意見」を意味するopinions、ideas、viewsなどを使えばいいでしょう。

 the other person’s opinions

 なお、一つの意見だと明確に決まっていなければ、通常、複数形で表現します。

 

ⅱ 第5文型で表現

 

○ listen to the other person talk

     V                O    C

 × listen to the other person talking

       V                O    C

 

 Cに原形(talk)を使うと、「話を最後まで聞く」

 Cに現在分詞(talking)を使うと、「話の途中を聞く(だけ」

 

という違いが生じます。

 この場合、「話を最後まで聞く」のだから、原形で表現しなくてはいけません。

 

ⅲ 関係詞whatを使って表現

 ⅱと同じく、「最後まで聞く」のだから

 

 what the other person saysであってwhat the other person is saying

 

ではありません。

 ⅰ~ⅲと考えるのは結構面倒なことなので-エネルギーも消費します-、

 

 listen to the other person

 listen to someone

 

で十分でしょう。

 次に、「最後まで」ですが、

 

 till(until) the end of ~

 

と英訳すると、どうしても、「~」のところの表現で

 

 his story(their stories)

 his talk(their talks)

 

としなければなりません。

 ところが、ⅰで見たように、この場合、名詞自体に若干の問題がある上に-talkなら、まだいいと思いますが-、そもそも、講演などとは違って、人に話をする際に、いつも「終わり(end)」を決めているわけではありません。

 通常、話し終わったところが「話の最後」なので、

 

 till(until) he finishes talking(speaking)

 till(until) they finish talking(speaking)

 

でいいわけです。

 いろいろ分析しましたが、少し面倒ではありました。

 「相手の話を最後まで聞く」なら、

 

 listen to the other person till he finishes talking.

  listen to someone till they finishes talking.

 

でもいいのですが、

 

 「私の話を(さえぎらずに)最後まで聞いてくれ」

 

と言うときに、

 

 Listen to me till I finish talking.

 

なんて、まるで下線部を機械的に付け足したような、印象を受けます。

 会話では、

 

 Listen to me.

 

だけで、十分でしょう。

 ただ、「最後まで」を強調する、正確な表現を意図するのなら、

 

 Hear me out.

 Just hear me out.

 

という、慣用表現(hear 人 out)が使えます。

 「相手の話を最後まで聞く」も

 

 hear the other person out.

 hear someone out.

 

と表現すれば、面倒な分析をする必要はありません。

 こちらが話しているときに、相手が口を挟んできたら、

 

 Hear me out.

 Just hear me out.

 

と言いましょう。

 hear 人 outは結構使われる表現ですが、最近、この表現を聞いたのは、3月5日(金曜日)に放送されていた、「スーパーナチュラル」という、アメリカのテレビドラマシリーズ12で、登場人物の女性が大切な話をしている場面で、目の前にいる友人の男性が途中で口を挟んできたときでした。

 女性は、相手の男性に、一言

 

 Just hear me out.

 

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英語表現

 

 表現の引き出しは多いことにこしたことはありません。

 どういう文で表現するかは、好みもあります。書く、ということになると、他の文とのバランスも考慮しなければなりません。

 とりわけ、英語表現を教える立場の人に関して言えば、学習者の力量にも左右されます。初学者に対して、いきなり番外編のような表現を示しても、相手にとって役立つとは思われません。

 教える立場、といっても、語学の勉強は一生続きます。教える立場だからこそ、表現の幅を広げ続けなければなりません。

 

「このアルバムには、私の青春時代の思い出が詰まっている」

で、

 This album is full of memories of my youth.

 This album is associated with memories of my youth.

 This album reminds me of my youth.

 This album brings my youth back to me.

という通常の表現を使わずに、

The photos in this album are part of my youth.

と、表現してみるのもいいでしょう。

 

 「そのことで、彼女は怒っているのだな」

で、

 Because of that, she is angry.

などの表現の代わりに、

 That explains her anger.

さらに、名詞化して、

 That is an explanation of her anger.

と、表現してみるのもいいかもしれません。

 

「その計画の詳細はわからない」

で、

 I don’t know about the plan in details.

の代わりに、

 Details of the plan are sketchy.

と、表現することもできます。

 

 日本語でも、誰でも知っている語を使って、うまく描写するプロの文章家がいます。

 いろいろ挑戦すれば、新たな表現の発見につながり、それだけ表現力が豊かになるでしょう。

 

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