教える英文法11ー最上級2
「Aほど~なもの(こと、人、とき、ところ)はない」
「Aよりも~なもの(こと、人、とき、ところ)はない」
否定語には、nothing、no ~、none、few ~、hardly any ~、never、nowhereなどがくる。
1 Nothing is as(so) important as time.
= There is nothing as(so) important as time.
「時間ほど大切なものはない」
= Time is more important than anything else.
= Time is (the) most important.
Nothing is more important than time.
= There is nothing more important than time.
「時間よりも大切なものはない」
= Time is more important than anything else.
= Time is (the) most important.
2 Few mountains are as(so) beautiful as Mt Fuji.
「富士山ほど美しい山はほとんどない」
Few mountains are more beautiful than Mt Fuji.
「富士山より美しい山はほとんどない」
3 His song has never been as(so) popular (as today).
「彼の歌は今ほど人気がでたときはない」
His song has never been more popular (than today).
「彼の歌は今より人気が出たときはない」
→ 否定の副詞neverが文頭に出れば倒置が起こる。
Never has his song been as popular as today.
Never has his song been more popular than today.
I have never seen such a tall man as he is.
= I have never seen so(as) tall a man as he is.
「彼ほど背の高い人に会ったことがない」
→ suchとas(so)では語順が違うことに注意する。
4 Nowhere is gardening as(so) popular as in England.
→ 否定の副詞nowhereが文頭に出ているので倒置が起こっている。
→ 比較対象は副詞nowhereと副詞句in Englandである。
inが抜けないように注意すること!
= There is no country where gardening is as(so) popular as in England.
「イングランドほどガーデニングが人気を博しているところ(国)はない」
Nowhere is gardening more popular than in England.
= There is no country where gardening is more popular than in England.
「イングランドよりもガーデニングが人気を博しているところ(国)はない」
厳密に言えば、否定語 as(so) ~ as Aと否定語 ~er / more ~ than Aには微妙な違いがあります。
1の英文を例にとって説明すると
Nothing is as important as time.
は、「時間ほど重要なものはない」という意味で、重要さ/大切さでは時間に並ぶものはないことになります。
一方
Nothing is more important than time.
は、「時間より重要なものはない」という意味なので、たとえば健康のように、時間と同じぐらい重要なものがあるかもしれません。
しかし、どちらも「時間が最も重要だ」と言っている意味において違いはありません。それに、後者の英文にしても、「時間と同じぐらい重要なものがあるかも」とは言っていますが、「時間と同じぐらい重要なものがある」とは断定していません。もし「時間と同じぐらい重要なものはない」とわかれば―「~のものはない」とは、悪魔の証明と同じで、証明はできないが―、両者はまったく同じ意味になります。
実際、ネイティブのプロの文章家の中にも両者を区別せずに使っている人もいます。
従って、少なくとも受験生のレベルで両者を区別しなくても問題ないでしょう。ただ、あくまで厳密に考えたほうが無難なので、ここでは両者を区別するという意図で日本語を分けました。
英語表現を学習するうえで、他にも注意すべきケースがあります。
「真夜中に電話がかかってくることほど迷惑なことはない」
という日本文の英訳を考えてみましょう。
「迷惑な」に形容詞を当てはめれば
be annoying、be irritating、be unpleasant、be bothersome
「困らせる」と、動詞で考えると
annoy、irritate、displease、bother、upset
などが使えそうです。
「電話がかかってくる」は「電話を受け取る」と考えて
get a call、receive a call
英語は比較対象の品詞はそろえるのが原則です。ここで、問題が生じるのです。比較対象のnothingは名詞なので、「電話を受け取ること」と、名詞で表現しなければなりません。
動詞を名詞にする方法は2つです。
Nothing is as annoying to(for) me as to get a call in the middle of the night.
Nothing is as annoying to(for) me as getting a call in the middle of the night.
これで一応比較対象の品詞をそろえることができました。
ただ、本当にこれでいいのでしょうか。
というのも、「~すること」を表現する際に、to不定詞と動名詞の両方を使えるケースもあれば、どちらか一方を使うケースもあるからです。
この場合、果たして両方とも問題なく使えるのでしょうか。教える側はそこを正確に学習者に伝えなければなりません。
他の英文を見ていきましょう。
2と3は解釈、英語表現(英作)において重要な文例です。解釈するときに、2と3に共通するある落とし穴があります。教える側はそれを学習者に伝えなければいけません。
英語表現を教える上で、3と4も非常に重要な文例です。両方とも、何に重点を置いて、どこに注意するかを、学習者に伝えることが肝要です。
3と4に共通するポイントは何でしょうか。
最大のポイントは、比較対象が副詞(副詞句)になっている点です。
これと同じケースは他にもあります。
例えば、上述の日本文
「真夜中に電話がかかってくることほど迷惑なことはない」
を、Iを主語にして表現すると
I never feel as annoyed as ~.
I’m never as annoyed as ~.
となります。
比較対象である否定語neverは副詞なので、~は副詞(副詞句、副詞節)で表現することになります。学習者にっとは頭を悩ませるところです。しかし、序文で述べたように、比較表現の基本的な作り方(根本)がわかっていれば正確に表現できるでしょう。