教える英文法3ー原級(as ~ as)
● 原級(as ~ as)を使った文
1 as many as 数字「~も」(数の多さを強調)
as much as 数字「~も」)(量の多さや程度の大きさを強調)
その他の用例
He came as early as 9 pm.
「彼は午後9時にはもうやって来た(ずいぶんと早かったな)」
He came as late as 9 pm.
「彼は午後9時にやっとやって来た(ずいぶんと遅かったな)」
2 as many ~
2.1 as many「同数の~」
as manyは「同数の~」という意味になる。具体的に「いくつの~」かは、先行する数字と同じものである。
He made ten mistakes in as many lines.
「彼は10行で10個の間違いをした」
前に数字、後ろにas many ~「同数の」、と押えておけばよい。
2.2 like so many ~「まるで~のように」
They worked hard like so many ants.
「彼らはまるでアリのように懸命に働いた」
そのまま読めば「同数のアリのように」となる。「彼ら」ひとりひとりを「アリ」にたとえている。
3 as ~ as 人 can = as ~ as possible「できるだけ~」
4 as ~ as any A「どのAにも劣らず~」
She is as clever as any student in her class.
「彼女はクラスの誰にも劣らず利口だ」
5 as ~ as ever「相変わらず~」
(「今まで同じようにずっと、常に~」という意味)
He seems as healthy as ever.
「彼は相変わらず健康そうだ」
6 as ~ as (~) can be「この上なく~」
(~には同じ語がくるので、canの前の~は省略されることがある)
He is as happy as ( happy ) can be.「彼はこの上なく幸せだ」
7 as ~ as ever lived「古今まれな~、並外れて~」
(後ろのasは関係代名詞と解釈できる)
He is as great a scientist as ever lived.
「彼は並外れて偉大な科学者だ」
最初のasは副詞なので
He is as a great scientist as ever lived.
という語順にならないことに注意!
8 not so much A as B「AというよりむしろB」
= B rather than A(rather B than A)
so muchが移動して
not A so much as B
になるときがある。
9 not so much as ~「~さえしない」( = not even)
without so much as ~ing「~さえせずに」( = without even ~ ing)
(withoutがnotの役割をしている)
muchは「程度」を表し、「~ほどのことさえしない」が元の意味になる。
He left the room without so much as saying good-by.
「彼はさよならさえ言わずに部屋を出て行った」
10 as good as ~「~同然」
(= almost、nearly、practically、virtually)
11 go so far as to say that ~「~ほどのことまで言う」
否定文は
not go so far as to say that ~「~とまでは言わない」
farは「程度」を表し、「~だと言うのと同じだけの程度までいく」から「~ほどのことまで言う」という意味になる。
12 A not as(so) ~ as B「AはBほど~でない」
否定文ではas、soのどちらも使われる。口語ではsoが多い。
《問題提起》
1 一般に、asとasの中に入る形容詞や副詞によって「何を強調しているのか」が決 まります。
しかし、そう単純に決めつけていいのでしょうか。
次の英文を見てください。
How many books did you check out?
「あなたは何冊の本を借りましたか?」
疑問文に対する答えは、「10冊借りた」かもしれないし「1冊しか借りなかった」かもしれません。manyを使ったからといって「数が多い」とは限りません。
この考えはas ~ asにも適用されるのでしょうか。
4 as ~ as any Aがどうして「どのAにも劣らず~」という意味になるのかを、説明する必要があるでしょう。
6 as ~ as (~) can beがどうして「この上なく~」という意味になるのかを、説明する必要があるでしょう。
7 古い表現ではあるが、一応押えておいたほうがいいでしょう。ただ、問題があります。
この表現を最上級とみなして、問題集で
He is the greatest scientist that ever lived.
という表現と書き換えさせる問題がありました。実際、最上級と同じ日本語訳を当てはめている参考書もあります。
しかし、ジーニアス英和辞典に次の記述があります。
《古》「古今まれな、並外れた」(最上級の意味はもっていない)
He is as great a scholar as ever lived.
「彼はきわめてすぐれた学者だ」
◆He is the greatest scholar that ever lived.
は「古今最大の学者だ」となる。
― 以上、ジーニアス英和辞典より
明らかに、as ~ as ever livedとthe ~est that ever livedを区別しています。
一方で、前述のように、as ~ as ever livedを最上級ととらえている書物もあります。いったいどちらが正しいのでしょうか。また、どうして、微妙ではあるが、このような違いが生じたのでしょうか。
さらに、同じas ~ asでも、次のように英文を換えると違いが生じるのでしょうか。
He is as great a scholar as any (scholar) that ever lived.
たしかに、現代の英語を学ぼうとする生徒たちにas ~ as ever livedという古い表現を説明する意義があるのかどうか、という問題はあるでしょう。しかし、英語を教える立場の者にとっては少なくとも知識として知っておいたほうがよさそうです。もし生徒から質問されたら困りますから。
8 not so much A as Bがどうして「AというよりむしろB」という意味になるのかを明快に説明する必要があるでしょう。それによって、not A so much as Bという形になることも理解できますから。
さらに、「AというよりむしろB」という意味を表す表現は他にないのでしょうか。
実は、not so much A as Bと同じぐらい重要な表現があります。これを紹介しなければ英文が正しく読めないケースが出てきます。
10 as good asがどうして「~同然」という意味になるのか、説明する必要があるでしょう。
というのも、as good as new「新品同然」ならgoodなのですが、as good as dead「死んでいるのも同然」はgoodなことではないからです。
12 気になるのはnot as ~ asとnot so ~ asがまったく同じことを意味するのか、ということです。
not so ~ asには2つの意味がある、と説明されるときがあります。もしそうなら、not as ~ asとnot so ~ asは区別して使うことになります。両方の表現は区別するべきなのでしょうか。