教える英文法18(仮定法7)ー as if ~ / as though ~

 

    7 as if / as though

    《一般的説明》

 

  He looks as if he saw a ghost.

  「彼はまるで幽霊でも見ているかのような顔をしている」

 

  He looks as if he had seen a ghost.

  「彼はまるで幽霊でも見たかのような顔をしている」

 

 as ifの中の時制を、言い換えれば、as ifの中に「仮定法過去を使うか、あるいは、仮定法過去完了を使うか」を、この用例で説明すると、

 

  He looksと同じ時なら仮定法過去

  He looksより以前のことなら仮定法過去完了

 

という考えで決まる。

 

 as ifの中に仮定法がこない―直説法がくる―ときもある。

 

  ⅰ He looks as if he had seen a ghost.

   「彼はまるで幽霊でも見たかのような顔をしている」

 

  ⅱ He looks as if he has been running.

    「彼はまるでずっと走っていたかのような顔をしている」

 

 ⅱの文は、実際に「ずっと走っていた」かもしれないので仮定法になっていない。

 それに対して、ⅰは実際には「幽霊を見た」とは考えににくいので仮定法にしている。

 

 as ・・・ as if ~「まるで~のように・・・」という形もある。

 

  He speaks English as well as if he were an American.

  「彼はまるでアメリカ人のように英語をうまく話す」

 

as if ~を使った慣用表現

 ⅰ as if to say ~「まるで~とでも言いたげに、~とでも言わんばかりに」

 ⅱ It is not as if ~「~であるわけじゃあるまいし、~であるふりをしやがって」

           (苛立ちや軽蔑の気持ちが含まれている)

 ⅲ As if ~「~であるふりをしやがって」

       (苛立ちや軽蔑の気持ちが含まれている)

 

 口語(特に、米語)では、as ifの代わりにlike(「のように」という意味の接続詞)がくる場合がある。

 

 

    《問題提起》

 まず

 

  as if ~がどうして「まるで~のように」という意味になるのか

 

を説明する必要があるでしょう。

 これによって、

 

ⅰ as ifの中に仮定法がこないこともある

  ⅱ as ・・・ as if ~「まるで~のように・・・」

 

といった事柄が説明できます。

 さらに

 

  It seems as if ~

  It looks as if ~

 

の~には仮定法でない文(直説法)がくるのが一般的である理由もわかります。

 

 as if ~の成立過程を理解することによって理解が深まることは確かです。しかし、現実には、詳しく説明する時間はないかと思います。そのときは、as if ~とas ・・・ as if ~の形と意味、用例だけを示し、個人的に関心がある者だけに個別に説明してあげればいいでしょう。

 しかし、次に述べる仮定法の時制に関する項目は必ず説明しなければなりません。そうしなければ、仮定法の本当の理解にはつながらないからです。それに、I wish ~やIt is time ~など、他の表現にも影響を及ぼしてくる事柄でもあります。

 

 具体的な例文を使って説明するのがいいでしょう。

 

  If I knew his telephone number, I could call him.

 

  If I had known his telephone number, I could have called him.

 

 If ~の文は、基本的には―例外もあるが―最初から最後まで「事実に反する仮定法」だから、

 

  仮定法過去は現在あるいは未来の事実に反する表現

  仮定法過去完了は過去の事実に反する表現

 

と、単純に理解しても大丈夫です。

 では、as if ~の文では、どうしてその定義付けが通用しないのでしょうか。

 これを理解するためには、まず、仮定法過去と仮定法過去完了の時制に関する新たな定義付けが必要です。これが本来の定義付けですが、最初からそのことを述べると、仮定法を学び始めた学習者は間違いなく混乱します。最初は単純な定義から入り、ある程度理解が進んだ段階で新たに本来の定義付けをしてあげるのが賢明です。定義付けをした後は、具体的な英文で説明してあげればいいでしょう。できれば、時制が異なる4つのパターンの例文を使えば、学習者は理解しやすいでしょう。

 

 これが理解できれば

 

  It is timeの後には仮定法過去がくる

  I wish ~をI wished ~に変えても~の時制は変えてはいけない

 

理由が理解できるでしょう。

 as if ~を用いて仮定法の時制に関する正確な定義付けが理解できたとしても、学習者が疑問を持つ文が次の英文です。

 

  I remember the event as if it were yesterday.

  「私はその出来事をまるで昨日のことのように覚えている」

 

 学習者が持つ疑問は

 

  「“昨日”だから“remember”より時制が以前なのに、どうして“had been”ではなく、“were”なのか」

 

という内容です。

 いろいろな文献や辞書でも同じような英文を見かけますが、具体的な説明がないように思えます。事実の文の時制を一歩過去にしたのが仮定法です。

 事実の文が

 

  It was yesterday.

 

なら、仮定法は

 

  as if it had been yesterday

 

ではないかと、学習者が疑問を抱くのも当然です。実際、質問してくる者もいます。

 教える側はこの疑問に対して明確に答えてあげる必要があるでしょう。

 

 次に、

 

as though ~がどうして「まるで~のように」という意味になるのか?

 

という疑問を抱いている人も多いかと思われます。

 この疑問に対して答えている記述を一つだけネット上で見つけましたが、はっきり言って「何を言っているのか」わかりませんでした。

 授業等の中で強いて触れる必要はないと思いますが、

 

  as though ~が「まるで~のように」という意味になる

 

ことに対しても理屈はあります。

 as if ~とas though ~のニュアンスの違いについて指摘している記述も一部に見られますが、このことに関しては、わざわざ指摘するほどの違いがありません。参考書や辞書でも―CODOALD、PODといった英々辞典でさえも―、2つの表現を同じとみなしています。

 それでもあえてニュアンスの違い―仮定法がきたときの違い―は、と訊かれたら、

 

  as if ~の~は「事実に反する可能性が高い」

  as though ~の~は「ひょっとしたら事実通りかもしれない」

 

という意識の差が生じる、と言えるかもしれません

 これもネット上の記述でしたが、

 

  as though ~の~には「100%事実に反する事柄はこない」

 

と断言している記述もありました。

 たしかに、as though ~の~に、「完全に事実に反しているとわかっている事柄をもってくる」ことは極めてまれかもしれません。しかし、中には「完全に事実に反しているとわかっている事柄をもってきている」用例もあります。従って、「絶対にこない!」と断言するのはいささか危険なような気がします。

 あえて言うなら、

 

  英語表現において、as though ~の~に「まずありえない」事柄を入れるのは避けよう

 

という意識で臨めばいいでしょう。

 ただ、

 

  as if ~の~は「事実に反する可能性が高い」

  as though ~の~は「ひょっとしたら事実通りかもしれない」

 

という意識の差が生じる、という考えは的外れではありません。

 それは、as if ~という表現が生まれた過程とas though ~が生まれた過程の違い―再度言いますが、初学者対象の授業で触れる必要はありません―を考えれば納得できます。

 

 最後に、as if ~を使った慣用表現を紹介することになりますが、ここはさらりと流せばいいでしょう。ただし、教える側は、いつ学習者から質問されてもいいように、相手が納得する説明ができるようにしておきましょう。

 

  as if to say

  「まるで~とでも言いたげに / ~と言わんばかりに」

  It is not as if

  「~であるわけじゃあるまいし、であるふりをしやがって」

  As if ~「~であるふりをしやがって」

 

 

    《解説》

 略

 

  

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